企業の仕入単価上昇、飲食店や旅館が直面する課題
最近の調査では、企業の75.5%が仕入単価の上昇に苦しんでいると報告されています。この現象は特に飲食業や宿泊業で顕著で、原材料価格の高騰や円安、食料供給の不安定さが影響しています。これにより、多くの企業が保有コストの増加に直面しており、将来的な事業運営に関する懸念が高まっています。
調査概要
株式会社帝国データバンクは、全国26,674社を対象に「TDB景気動向調査」を実施し、有効回答企業は1万716社(回答率は40.2%)です。2025年3月の調査結果によると、約75.5%の企業が仕入単価の上昇を認識しており、このトレンドは40ヵ月連続で続いています。これにより、企業の事業環境は非常に厳しいものとなっていることが分かります。
仕入単価上昇の要因
仕入単価の上昇の主な要因としては、原材料価格の上昇、特に輸入コストの高騰が挙げられます。さらに、食料の供給が不安定であることも影響を与えています。日本銀行のデータによれば、企業物価指数も前年比で4.2%上昇し、経済全体に影響を及ぼしています。
また、2022年から2023年にかけて急上昇した後、少し落ち着いているとの報告がありますが、2024年に入って再び上昇に転じているため、企業にとっての生産コストは依然として高い水準を維持しています。
業種別の影響
調査によると、特に影響を受けているのは飲食店で、94.6%の企業が仕入単価の上昇を報告しています。旅館やホテルも91.0%に及びます。飲食業界の企業からは「売上は悪くないが、原価や人件費が重い」といった声が聞かれ、たとえば「コメの価格高騰が経営を圧迫している」といった具体的な例も挙げられています。
このような状況で、多くの飲食店が厳しい経営環境に直面しており、サービスの維持が困難になっています。
販売単価の転嫁状況
業界全体で見ると、仕入単価の上昇に対する販売単価の上昇は十分ではなく、特に飲食店においては販売単価上昇の割合が64.9%で、仕入と販売の差は29.7ポイントと大きな開きがあります。旅館やホテルでも同様の傾向が見られ、販売単価の転嫁が難しい状況にあります。
医療・福祉業界でも、仕入れ価格が上昇しているにもかかわらず、販売価格の転嫁は非常に厳しい状況にあります。
政府への期待
政府に対しては、原材料の供給安定化やエネルギーコストの抑制など、より具体的で効果的な政策が求められています。今後も企業の持続可能な運営を支援するために、サプライチェーンの強化や効率化、高付加価値化などに向けた支援が重要です。
企業側でも、コスト削減や効率化を図りつつ、消費者との信頼関係を築きながら適正価格を形成していく努力が必要です。持続可能な経営を目指し、現状を乗り越えるための取り組みを強化していくことが求められています。これからの企業活動がどう変化していくのか、引き続き注目が集まります。