第115回清酒製造技術セミナーの紹介
新潟県に本社を置く津南醸造株式会社が、2025年9月18日・19日に開催された第115回清酒製造技術セミナーで革新的な醸造法「スマート醸造」について講演しました。このセミナーは赤煉瓦酒造工場という重要文化財でも開催され、時代の最先端技術を酒造りに取り入れる試みを広める場となりました。
スマート醸造が目指すもの
代表取締役の鈴木健吾氏が語った「生成AIと醸造微生物研究を活かしたスマート醸造」は、従来の酒造りのコンセプトを刷新するものでした。彼の講演では、様々なデータを利用して最適な発酵条件を導き出し、品質を向上させる具体的な事例が紹介されました。特に注目されたのは、AIを活用した以下の施策です。
1.
温度・発酵速度のシミュレーション:AI技術が、所定の条件下での発酵プロセスを分析し、最適な温度や発酵速度を提案します。
2.
サーキュラーエコノミーの実現:酒粕などの地域資源を再利用し、持続可能なリサイクルの概念を酒造りに取り入れることが進められています。
3.
宇宙空間での発酵可能性の探求:未来には宇宙での酒造りも視野に入れているという大胆なビジョンが示されました。
プレミアム日本酒の披露
セミナーの初日には、津南醸造のプレミアム日本酒『郷(GO)GRANDCLASS 魚沼コシヒカリEdition』が振る舞われ、参加者から高い評価を受けました。このお酒は、魚沼産コシヒカリを100%使用し、豪雪期に限定して醸造されています。さらに、低温で長期間発酵させる手法により、華やかで豊かな味わいが実現されています。このような細部にわたるこだわりが、多くのコンテストで受賞し、国内外の酒愛好家から支持を集めています。
鈴木健吾氏のコメント
鈴木氏は、津南の厳しい自然環境と最新の生成AI技術の融合を通じ、一層の品質向上と持続可能な酒造りの実現を目指していると話しました。彼は「地域資源との連携を深め、国内外での展開を加速させていきたい」と明言し、今後の展開にも期待が寄せられます。
赤煉瓦酒造工場とは
セミナーが開催された赤煉瓦酒造工場は、明治37年に設立された重要文化財で、日本の酒造りの近代化に貢献した歴史的な建物です。この建物の設計を手がけたのは、明治時代の著名な建築家である妻木頼黄であり、ドイツ式ビール工場を模した独特な造りが特徴です。今やこの施設は、日本酒の研究と実習の場としても重要な役割を果たしています。
まとめ
津南醸造の取り組みは、ただの酒造りに留まらず、生成AIやデータ分析を通じた新しいアプローチを模索しています。このような未来志向の技術や理念が、地域の酒造りの発展に寄与することが期待されます。今後も彼らの挑戦に注目が集まるでしょう。