STマイクロエレクトロニクス、NXP社MEMSセンサ事業を買収し技術力を強化
STマイクロエレクトロニクス(ST)は、先日、NXP Semiconductors(NXP社)のMEMSセンサ事業を約9億5000万ドルで買収する契約を締結したと発表しました。この取引内容では、前払いに9億ドル、残りの5000万ドルは技術的な目標の達成に依存する形になっています。
この買収の目的は、STのセンサ技術の強化とMEMS事業ポートフォリオの拡充です。両社の技術が持つ相互補完性により、車載、産業、コンシューマ市場の製品を一層強化することが期待されています。STは、約3億ドル規模のNXP社のMEMS事業を取り込むことで、売上総利益や営業利益の拡大を図り、その結果、1株当たりの純利益も増加する見込みです。
STのアナログ・パワー&ディスクリート・MEMS・センサグループの社長、マルコ・カッシス氏は、「今回の買収はSTの戦略に非常に合致しており、NXP社との技術的な相補性が高く、既存のMEMSポートフォリオの強化に寄与する」と述べています。特に、車載セーフティに焦点を当てた技術の融合が、両社の製品力を一層向上させるでしょう。
また、NXP社のエグゼクティブ・バイス・プレジデント、イェンス・ヒンリヒセン氏は、「NXPは長年にわたりMEMSベースの車載用モーション・センサおよび圧力センサの主要サプライヤとして顧客から支持されてきましたが、ポートフォリオの見直しを経て、STでの展開が最適であると判断した」とコメントしています。
STが特に注目しているのは、パッシブ(エアバッグ)やアクティブ(車両ダイナミクス)向けの車載セーフティセンサです。さらに、産業機器向けには圧力センサや加速度センサを含む757事業も対象にしています。急成長を遂げる車載MEMS市場において、これらの技術の進展を通じて先進的な機能や安全性が確保され、さらには電動化やコネクティッドカーといった新しい潮流にも対応しています。
特に、車載MEMS慣性センサの市場は非常に急速に拡大すると予測され、今回の買収もその成長を加速させる要因となるでしょう。NXP社のMEMSセンサ事業は2024年に約3億ドルの売上を見込んでおり、STにとって重要な収益源及び利益増加のキーファクターとなると考えられています。
なお、買収額の9億5000万ドルは、既存の資産から調達され、取引の完了は2026年の上半期を予定しています。これには、各種規制当局からの承認が必要となります。新しいチームの参加によって、STは自社のMEMS技術や研究開発能力をさらなる強化を図り、製品の設計から製造、テスト、パッケージングまで一貫した統合型デバイスの提供が可能となるでしょう。
STは、顧客にとって革新的で信頼性の高い製品を提供するために、MEMS技術および高い製品ポートフォリオを駆使することで、業界における競争力を今後一層高めていくことが期待されます。今後の展開に大いに注目が集まります。
会社情報
- 会社名
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STマイクロエレクトロニクス
- 住所
- 東京都港区港南2-15-1品川インターシティA棟
- 電話番号
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03-5783-8220