株式会社corteと株式会社ソラミチシステムが共同で開発したAI薬歴作成支援サービス「corte」が、全国763店舗を展開する日本調剤に導入されることが決まりました。この取り組みは、調剤薬局業界の業務効率化を図る大きな一歩です。
「corte」は、薬剤師が患者に行った服薬指導の会話を音声認識AIと生成AIを用いて自動的に要約し、SOAP形式に変換して記録することで、薬歴作成の負担を軽減します。これまで薬歴作成には、話した内容を思い出しながら書き起こす必要があり、かなりの疲労がかかっていました。しかし、「corte」を導入することで、手入力を減らし、記録の精度を高めることができます。
日本調剤が「corte」を導入する背景には、高齢化社会や医療DXの進展があります。これにより、薬剤師には多くの業務が求められており、業務負担を軽減するソリューションが必要とされていました。「corte」により、薬歴作成業務の時間が短縮され、薬剤師はより患者との対話に集中できる環境が整えられます。
先行導入の実績からは、薬歴作成時間の短縮が確認され、服薬指導時のメモ取りが不要となったことが特に好評です。また、SOAP形式での自動生成により、薬歴の質も向上しています。
日本調剤株式会社の薬剤企画部長長島雄一氏は、「corte」の導入について、単純な業務効率の向上にとどまらず、薬剤師が人に向き合う時間を創出する重要性を強調しました。国民に対して質の高い医療を提供するためには、薬剤師も環境に適応し続ける必要があります。「corte」を使うことで、患者一人ひとりの状況をより深く理解し、より良い指導が可能になると述べています。
また、ソラミチシステムの田浦社長は、AI技術による薬歴作成支援が医療現場の質向上に寄与することを期待しています。彼は、「corte」によって薬剤師の対物業務が減り、対人業務に時間をかけられるようになれば、業界全体がより良くなると信じているとコメントしています。
「corte」の開発者である升澤裕介氏は、日本調剤との連携が革新的な医療サービスへと繋がると考えています。AI技術を駆使して、薬剤師が患者と深く向き合える環境を整えたいという思いが込められています。彼は、病院や薬局での課題解決を推進し、患者に対する深い理解を目指す姿勢が重要だと強調しました。
実際のユーザーからは、「導入後は薬歴作成がスムーズになり、対話に集中できる」との声も聞かれています。操作も簡単で、記載漏れのリスクも軽減されると感じているようです。AI技術に対する不安もありますが、実際に使ってみることでその便利さを実感できるという意見が多く見受けられました。
今後も「corte」は、AI技術の進化によって機能を拡張し続け、薬局業界全体のDX推進を図っていくでしょう。薬剤師の負担を軽減しつつ、より質の高い医療サービスを提供することで、患者が安心して薬物療法を受けられるような医療環境を構築していくことが期待されます。