新技術が都市構造の解析を変える
近年、都市構造が複雑化する中で、位置情報データの活用はますます重要になっています。この度、MetCom株式会社と株式会社ブログウォッチャーは、三次元位置情報ビッグデータを活用した「高さ情報による階層分離」技術を実用化したことを発表しました。この新技術は、都市の中から特定の「高さ」に属するデータを正確に抽出することが可能です。
1. 背景
近年、自治体やエリアマネジメントを担う組織は、地域の課題解決や価値向上に向けてEBPM(エビデンスに基づく政策立案)を進めています。これは人の動きを可視化するために位置情報ビッグデータを活用するものです。この際、例えば駅ナカの地下通路や駅前のペデストリアンデッキの利用状況を分析したい場合には、全体のデータから必要な部分を分離する必要があります。しかし従来の二次元位置情報(緯度・経度)では、地上部分と特定のフロアを区別できず、推計に依存するしかありませんでした。これは、実際の人流や気象条件、イベントによる影響を正確に把握する課題を抱えていました。
2. 新技術の概要
今回の「高さ情報による階層分離」技術は、三次元位置情報から高さ情報を活用し、地下通路や特定フロアの人流データを直接抽出します。これによって、以前必要だった推計作業の手間を大幅に削減し、より客観的で信頼性の高いデータを取得できるようになりました。そのため、今までの分析ノウハウやツールをそのまま使用できる利便性も備えています。
3. 活用事例
国土交通省が進行中の「令和7年度 三次元人流データを活用した課題解決等実証業務」では、この新技術が実証地区の分析に利用されています。具体的には、駅周辺や地下街などの複雑な都市構造を持つ地域での人流分析や、地域の現状把握に貢献することが期待されています。
4. 三次元位置情報ビッグデータの実現
この三次元位置情報ビッグデータは、ブログウォッチャーが提供する「プロファイルパスポートSDK」を通じて取得された気圧情報を、MetCom社の垂直測位サービス「Pinnacle」により高さ情報に変換することで成り立っています。これにより、特別な設備を設置することなく、すべての建物で高さ情報を得ることが可能となります。
5. まとめ
MetComとブログウォッチャーの共同開発により実現した「高さ情報による階層分離」技術は、まちづくりやエリアマネジメントに伴うデータ分析を根本から変える可能性を秘めています。今後、この技術がどのように地域課題の解決に寄与していくのか、引き続き注目が集まります。