三菱重工サーマルシステムズ、自然冷媒を採用した新ヒートポンプを発表
三菱重工サーマルシステムズ株式会社(社長:伊藤 喜啓、東京都千代田区)は、欧州に向けて新しいヒートポンプ式給湯暖房機「Hydrolution EZY」シリーズを発売しました。この製品は、環境に優しい自然冷媒であるR290を採用し、現在の環境規制に対応した製品ラインです。新モデルは6kWクラスと7.1kWクラスの2つがあり、今冬から徐々に販売が開始される予定です。
自然冷媒R290の利点
「Hydrolution EZY」シリーズの最大の特徴は、自然冷媒のR290を使用している点です。このプロパン冷媒は、非常に低い地球温暖化係数(GWP)0.02を持ち、従来の冷媒に比べて温暖化の影響が少ないです。この特性は欧州における環境規制の強化に適したものとなっており、注目を集めています。特に、冷媒は大気中の熱を利用してお湯や暖房、冷房に必要な冷温水を供給するため、高いエネルギー効率が求められます。
簡単な取り付けと高効率
ATW(Air to Water)システムの形式を取る本製品は、モノブロックタイプで設計されています。これにより、水熱交換器が室外ユニットに収納されているため、設置は簡単で、配管工事も水配管のみで済むため、固定されたスプリットタイプのATWと比較して作業が楽になります。
また、高温給湯も可能で、外気温がマイナス25℃からプラス43℃のさまざまな環境に対応しており、最高75℃の高熱水が提供できる点も魅力です。この性能は、寒冷地でも安定して温水を供給することを可能にします。
さらに、この製品は自社開発の新しい圧縮機を搭載し、高効率と静音性を実現しました。例えば、6kWクラスの製品は最大運転時でも音圧レベルが34dB(A)に抑えられており、騒音環境にも配慮されています。特に住宅密集地でも使いやすい静音モードも搭載されています。
安全性の向上と洗練されたデザイン
安全対策として、冷媒漏れ検知センサーがユニット内に組み込まれており、万が一の冷媒漏れ時にはユニットの運転を停止し、ファンを動かして冷媒の滞留を防ぎます。これにより、安全性がさらに向上しています。
デザイン面でも進化を遂げており、黒色の外装に銀色のラインをアクセントにしたスタイリッシュな外観を持ち、欧州の住宅環境にもマッチします。ファンガードは斜めの視線からファンの視認性を低くする設計で、地域の景観との調和を保ちつつ、力強いデザインが際立っています。
気候目標に向けた取り組み
三菱重工グループは、自社の活動からのCO2排出量を2040年までにネットゼロにする「MISSION NET ZERO」を2021年に宣言しており、「Hydrolution EZY」シリーズは、この目標を実現するための重要なステップです。環境への配慮を重視し、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みはさらなる進展が期待されています。
今後も三菱重工サーマルシステムズは、環境負荷を低減する技術開発を続け、冷熱事業の分野でシナジーを活かしながら最適なソリューションを提供していく方針です。これにより、欧州のみならず世界中でのカーボンニュートラル実現へ貢献していくことが期待されている。