25卒採用活動、インターンシップ実施率が過去最高値に!企業は採用戦略を進化させる
株式会社マイナビが発表した「マイナビ2025年卒 企業新卒採用活動調査」によると、25年卒のインターンシップ実施率は61.3%と、調査開始以来最高値を記録しました。コロナ禍の影響で減少していたインターンシップの実施率は、3年連続で増加しており、企業の採用活動における重要性が改めて認識されています。
しかし、企業はインターンシップ実施に課題も抱えています。調査では、インターンシップの課題として「母集団(エントリー数)の不足」が65.9%と最多を占め、前年から3.6ポイント増加しました。学生の参加意欲は高いものの、企業側も積極的にインターンシップを実施しているため、参加人数の確保が難しい状況が続いていると考えられます。
採用充足率は微増、企業は採用目標数調整に苦慮
6月時点での採用充足率は、前年比0.5ポイント増の40.0%となりました。23年卒以降2年連続で減少していた採用充足率は、微増に転じましたが、依然として厳しい状況と言えるでしょう。詳細を見ると、採用充足率が8割以上の企業は増加している一方で、0割の企業も増加しており、採用状況の二極化が進んでいることが分かります。
採用予定数については、22年卒から24年卒にかけて2年連続で「増やす」が増加していましたが、25年卒では前年比4.7ポイント減少しました。採用難が続く中、企業は採用目標数を増やすことができず、前年並みに設定せざるを得ない状況のようです。この結果、採用目標数を調整することで、採用充足率がわずかに改善した可能性も考えられます。
初任給引き上げ、採用競争の激化が背景か
学部卒生の総合職採用において、直近で初任給を引き上げた企業は84.4%となり、前年比14.4ポイント増加しました。上場企業・非上場企業ともに8割を超える企業が初任給を増額しており、採用競争の激化が背景にあると考えられます。
引き上げ額については、「1万円~2万円未満」が最も多く、前年よりも上げ幅が拡大しています。特に上場企業では、前年の約2倍の割合で「1万円~2万円未満」の引き上げを行っています。企業は人材獲得のため、より積極的な給与水準の引き上げを検討しているようです。
保護者の意向も考慮、企業は学生と保護者の橋渡し役を担う
企業は学生の保護者に対して、どのようなアプローチを行っているのでしょうか。調査では、「行っていない」という回答が72.5%と最も多く、企業から保護者に直接連絡をするケースは少ないようです。しかし、学生を通じて保護者の意向を確認している企業は13.5%と、決して少なくありません。
保護者との印象的なエピソードとして、「両親から全国転勤のある会社への入社を反対された」や「退職金が無いことに対して、ストップがかかった」といった声も寄せられました。学生の意思決定に際して、保護者の意向を考慮する必要性が高まっていることを示しています。
採用活動は夏以降も続く見込み
25年卒の採用活動は、企業のインターンシップ実施率が過去最高値を更新するなど、激しい人材獲得競争が続いています。採用充足率の微増は、企業の取り組みが功を奏した成果と見ることができますが、一方で、多くの企業が採用目標数を据え置きしていることから、本来の目標に達していない可能性も考えられます。
企業と学生ともに、夏以降も引き続き採用活動が続く見込みです。企業は、学生と保護者の双方に対して、寄り添う姿勢を示し、適切な情報提供を行うことが求められています。