航空機による最新大気観測プロジェクトCONTRAILが新たな一歩を踏み出す

航空機による大気観測プロジェクト「CONTRAIL」が新たに始動

日本航空（JAL）をはじめ、公益財団法人JAL財団や気象庁、国立環境研究所、株式会社ジャムコの5者は、2025年12月4日から新たにボーイング787-9型機を活用した大気観測プロジェクト「CONTRAIL」を計画しています。このプロジェクトは、航空機を利用して温室効果ガスの濃度や同位体比を広範囲に観測することを目的としています。

CONTRAILプロジェクトとは

CONTRAILプロジェクトは、民間航空機によって大気中の二酸化炭素（CO2）を継続的に観測するという試みで、世界初の取り組みでもあります。このプロジェクトから得られるデータは、国内外の研究者によって評価され、地球規模での炭素循環や気候変動メカニズムの解明に寄与しています。

次世代ボーイング787-9型機で観測体制が強化

従来のボーイング777型機から、次世代機であるボーイング787-9型機への切り替えが行われます。この新型機には、CO2濃度を連続的に測定できる装置（CME）や自動的に大気サンプルを採取する装置（ASE）が搭載される予定です。これにより、観測の頻度と範囲が大幅に拡大し、インドや中東地域での観測も可能となります。

環境問題への取り組み

JALは「エコ・ファーストの約束」の一環として、持続可能な環境保護に貢献すべく、このプロジェクトに参画しています。環境省の支援を受けた5者は、定期的に飛行する航空機の特性を活かして貴重な大気データの収集・分析を行い、気候変動のメカニズム解明に向けた努力を続けていきます。

CONTRAILプロジェクトの歴史

このプロジェクトは1993年に始まり、当初はJAL、JAL財団、気象研究所が連携して活動してきました。2005年には国立環境研究所とジャムコも参画し、観測の精度と範囲をさらに広げてきました。今までに、JALの機体を用いて約22,000フライトで30,000件以上の大気データを取得しており、CO2のみならず、メタン（CH4）や亜酸化窒素（N2O）などの観測も行っています。