アークエッジ・スペース、シリーズBで80億円を調達
株式会社アークエッジ・スペース(東京都江東区)は、超小型衛星の開発を行うスタートアップとして注目を集めています。代表取締役CEOの福代孝良氏が率いる同社は、最新のシリーズBラウンドで総額80億円を調達しました。今回の投資には、新規および既存の投資家が名を連ねることになり、これにより同社の累計調達額は107億円に達しました。
資金調達の背景
アークエッジ・スペースが手掛けるのは、IoTデータ収集や、リモートセンシング、さらには船舶向け衛星通信(VDES)など、多種多様なミッションをこなせる6U衛星の開発です。昨年11月には、同衛星の基本設計が完了し、量産試験を経て今後の打上げおよび軌道上での実証へと進みます。
特に船舶向けの衛星通信分野では、2023年3月に国立研究開発法人のNEDOから「経済安全保障重要技術育成プログラム」にも採択されており、今後の発展が期待されています。さらには、地球観測分野でも新たに「中小企業イノベーション創出推進事業」に選ばれるなど、事業の幅を広げています。
今後のビジョンと目的
今回の資金を利用し、商業衛星コンステレーションの早急な構築が目標とされています。特に、海洋状況把握や、さまざまな周波数データ収集を可能にする多波長リモートセンシングなど、高度な技術が求められる領域において、同社の技術的優位性が強調されています。これにより、国内外の政府機関や民間企業との連携強化が期待されます。
アークエッジ・スペースは、超小型衛星の量産体制を構築する計画を進行中で、さらに大きな衛星への拡張も視野に入れているとのことです。これにより、従来の6U衛星に加え、50kg級の超小型衛星の生産にも対応可能となります。
投資家の期待と評価
出資者からは、同社の開発力やリーダーシップに対する高い評価が寄せられています。例えば、インキュベイトファンドの赤浦徹氏は「アークエッジ・スペースは超小型衛星を中心に数多くの案件を獲得し、世界の宇宙ビジネスをリードする存在になりつつある」とコメントしました。
さらに、JICベンチャー・グロース・インベストメンツの岸村俊哉氏は、同社の技術は船舶向け衛星通信や地球観測に留まらず、深宇宙探査にも応用が利くことから、革新性に注目しています。はたしてアークエッジ・スペースは、どのようにその可能性を発揮していくのでしょうか。
社会課題への貢献
アークエッジ・スペースは、地球規模の課題解決と持続可能な開発の実現をミッションとして掲げています。代表の福代氏も、衛星を通じての新たな価値の創出に取り組む中で、未来の技術がどのように私たちの社会を豊かにするかを考えています。
このように、アークエッジ・スペースの取り組みは、宇宙産業の新たな可能性を切り開くものとして、今後の展開に注目が集まります。
会社情報
アークエッジ・スペースは、2018年7月に設立された宇宙スタートアップ企業で、超小型衛星の企画、設計、量産化、運用をトータルで提供しています。おもに地球観測や船舶通信、光通信等のミッションを通じた宇宙利用の拡大に貢献しています。