宇都宮市が再生可能エネルギー導入に乗り出す
栃木県宇都宮市は、公共施設に再生可能エネルギーを導入する計画を発表しました。市は、宇都宮ライトパワー株式会社とNTTアノードエナジー株式会社と共同で、2025年4月1日から、市内の5つの公共施設で太陽光を利用した電力供給を開始します。
この取り組みは、宇都宮市が環境省の「脱炭素先行地域」に選ばれたことを受けて進められるもので、地域内のCO2排出量を2030年までに実質ゼロにすることを目指しています。市が掲げる「コンパクト・プラス・ネットワークによる脱炭素モデル都市構築」では、LRT沿線の公共・民間施設に太陽光発電や蓄電池を導入し、その管理を行います。
オンサイトPPAの導入
今回の再エネ導入プロジェクトでは、オンサイトPPA(Power Purchase Agreement)という仕組みが用いられています。この契約に基づき、宇都宮市の公共施設は、自社の屋根や遊休地に太陽光発電設備が設置され、初期投資なくして電力を得ることができます。これにより、発電した電気は直接使用され、温室効果ガスの排出が削減される仕組みです。
5施設に設置される太陽光発電設備は、合計で179kWの発電能力を持ち、年間およそ22万kWhの電力を生産する見込みです。この結果、年間約89トンの温室効果ガスが削減され、20年間で総計約1,780トンの削減が期待されています。さらに、各施設には蓄電池も設けられ、緊急時のエネルギー供給能力も向上されます。
脱炭素社会の実現に向けた取り組み
宇都宮ライトパワーは、再生可能エネルギーの地産地消や普及拡大を進めるため、今後もさらなる太陽光発電の導入を加速させる考えです。市内の自家消費率の向上やレジリエンスの強化を図るために、市が取り組む各種制度や計画に積極的に参画していきます。
NTTアノードエナジーも、オンサイトPPAの活用を通じて地域のエネルギー需給バランスの調整や電気自動車(EV)の充電施設といったインフラ整備に貢献しています。これにより市内の企業や自治体が脱炭素社会の構築を進めるために、さまざまな支援を行っていく方針です。
まとめ
宇都宮市のこの取り組みは、再生可能エネルギーの利用拡大だけでなく、地域経済の活性化や環境への配慮という複数の面で大きな意味を持ちます。脱炭素社会の実現に向け、地域全体が参加することが求められている現代において、宇都宮市の努力は他の地域にも良い影響を及ぼすことでしょう。そのモデルケースとして、今後の展開に目が離せません。