300℃対応の誘電材料を実現
自動車のエンジンルームなど、高温環境で使用される電子機器の性能向上のため、東京都立産業技術研究センターが画期的な誘電材料を開発しました。この新たに開発された材料は、300℃という極限の高温でも安定した誘電率を示し、自動車の信頼性を大きく向上させることが期待されています。
従来の課題
従来、コンデンサに使用される誘電材料は、高温環境での性能維持が大きな課題でした。特に、120℃を超えると誘電率が顕著に変動し、デバイス全体の機能を損なう可能性がありました。特に自動車のエンジンルームは非常に高温になるため、その場所で使えるデバイスの開発は急務でした。
開発された技術
今回の研究チームは、PNb9O25結晶をガラスで接続した「ガラス複合型誘電材料」を開発しました。この材料は、一つのプロセスで結晶の合成とガラスの接合を同時に行えるため、より効率的な製造が可能です。
高温環境での安定性
特筆すべきは、この新しい誘電材料が300℃の高温でも誘電率の変化が±15%以内に収まるという点です。これは、EIA規格(X9R)に基づくと、-55℃から200℃の範囲での変化率と同等の性能を誇ります。この安定性は、高温環境下でも電子機器の信頼性を大きく向上させ、様々な用途での利用が期待されています。
絶縁性の向上
また、電気伝導度についても改善が見られ、従来のPNb9O25と比べて2桁以上の低減が可能となりました。これにより、材料の絶縁性が大幅に向上し、電子機器の安全性も確保されることになります。
今後の展望
この技術は、自動車だけでなく、航空機や工業機械など、高温環境で使用される幅広い電子機器に応用できる可能性を秘めています。特に、将来的にはこの材料を用いた新しい電子デバイスの開発が期待されており、さらなる研究と実用化が望まれています。
論文情報
今回の研究成果は、2026年6月11日に発表される論文「High-Temperature Capacitance Stability and Insulating Properties of PNb9O25 Synthesized via Liquid-Phase Sintering: Strategic Utilization of Glass-Oxide Interfacial Reactions」に掲載されます。
著者には、嶋村圭介氏や小川大輔氏、藤原千隼氏といったメンバーが名を連ね、特許出願もすでに行われています。
高温環境下での電子機器の信頼性を向上させる新技術が、今後どのように進化していくのか注目です。