日本骨髄バンクの累計移植数が3万例に達成
2025年10月31日、骨髄バンクを通じた非血縁者間の骨髄・末梢血幹細胞移植が累計で3万例に到達しました。これは、患者さんとドナーの白血球型(HLA型)の一致が必要なとしても、非常に困難なマッチングながら、多くの方々の善意と協力により実現したものです。今年5月にはドナー登録者数が累計で100万人に達するなど、骨髄バンク事業は新たな節目を迎えました。
志を持つドナーたちの支え
造血幹細胞移植は白血病を始めとする血液疾患にとって、生命をつなぐ重要な治療法です。しかしながら、非血縁者間でHLA型が一致する確率は非常に低く、実際に移植を受けることができる患者さんは限定されています。こうした厳しい現実を乗り越え、1993年から始まった骨髄バンクの取り組みは、ドナーそれぞれの深い善意と、医療関係者やボランティアの協力に支えられてきました。
新企画「命の力強さとつながりの意義」
移植累計3万例の到達を記念して、日本骨髄バンクは新たなキャンペーンを立ち上げています。この企画では、非血縁者間で造血幹細胞移植を受けた経験者に焦点を当て、彼らが現在抱いている思いや命の力強さを表現することを目指しています。新たな接点を創出し、より多くの人々に骨髄バンクの取り組みへの関心を広げることが目的です。
未来に向けた新たな施策
移植を必要とする患者さんは、毎年約2,000人に上りますが、実際に骨髄バンクを通して移植が行われるのはその半数に過ぎません。この現実を打破するためには、特に若年層のドナー登録が欠かせません。現在、ドナー登録者の約6割が40代以上となっており、55歳で登録が取り消されてしまうため、今後10年間で約22万人のドナーが消失する懸念があります。
スワブ登録の導入
新しい施策として、ドナー登録の新しい形「スワブ登録」を本格的に導入します。これは、口の中をこすって検体を採取し郵送することで、採血なしで簡単に登録可能です。これにより、自宅で手軽にドナー登録ができるようになります。2026年度中の本格導入を目指し、最終トライアルも進めています。
ドナー休暇制度の推進
また、ドナー候補者が提供を行いやすくするために、企業や教育機関に対してドナー休暇や公欠制度の導入を推進しています。提供に必要な通院や入院のための特別休暇を認めることで、ドナーが安心して提供に臨める環境を整えていきます。
骨髄バンクの使命
骨髄バンクは、血液疾患に悩む患者さんとドナーをつなぐ重要な機関です。適合率が非常に低い中で、私たちが努力し続けることで、より多くの患者さんに救命のチャンスを提供することが可能となります。すべての患者さんがその機会を得るためには、一人でも多くの方のドナー登録が必要です。私たちはこれからも、命を救うための活動に邁進してまいります。