バイオシミラー使用促進事業の開始
全国健康保険協会(協会けんぽ)とホワイトヘルスケア株式会社は、医療費の適正化を目的とした新しい支援事業を始めることを発表しました。これは、バイオシミラーの使用を促進し、地域の医療機関や関係団体と連携して進めるものです。
バイオシミラーとは
バイオシミラーとは、既に承認されている先行バイオ医薬品と同じ品質や安全性を持ちながら、より低価格で提供される医薬品のことです。つまり、先行薬品の約5〜7割の価格で利用できるため、医療費の抑制に寄与します。近年、がんや難病の治療においては、バイオ医薬品が重要な役割を果たしていますが、その高額な薬価が問題視されています。こうした中で、バイオシミラーはその普及によって医療費全体の抑制が期待されています。
医療機関へのアプローチ支援事業
全国健康保険協会は、令和6年度に一部支部で行ったパイロット事業の結果を基に、全47都道府県でバイオシミラーの使用促進に向けた事業計画をスタートさせます。当プロジェクトでは、目標として「バイオシミラーに80%以上置き換わった成分数が全体の21%以上となる」ことを掲げており、その達成に向けた取り組みが進められます。
具体的には、全国の医療機関に対して、レセプトデータを分析し、医療機関の現状を把握。それを元に各支部の職員が病院を訪問し、院内の取組状況や課題についての意見を集めるヒアリングを行います。これにより、バイオシミラー使用促進のための具体的な施策を実施し、医療機関との協力体制を築いていきます。
地域フォーミュラリに向けた取り組み
さらに、今回の事業では地域フォーミュラリに関する取り組みも重要な柱です。地域フォーミュラリとは、地域の特性に合わせた医薬品の処方基準を定めるもので、バイオシミラーを含む後発医薬品の普及を後押しします。また、自治体や地域医療関係者との意見交換を促すため、リセプトデータを活用して地域のニーズを把握し、試行的な働きかけを行う予定です。
ホワイトヘルスケア株式会社はこのプロジェクトを支援すべく、過去のレセプトデータ分析や医療機関への訪問支援の経験を活かし、協力します。地域フォーミュラリにおいても、薬剤師会などと連携し、調剤データ分析を通じて地域の現状把握に貢献していきます。
未来の医療費適正化に向けて
全国健康保険協会は、設立以来、約4000万人の加入者に対して、地域の健康課題の解決に取り組んでいます。この新たな事業を通じて、医療費適正化を進めるだけでなく、患者がより良い医療を受けられる環境の整備を目指します。これにより、医療界全体の効率化と安心安全な医療提供に役立つことが期待されます。
今後のバイオシミラー普及に向けたこの取り組みが、どのような成果を生むのか、注目です。