日本企業におけるキャリア形成とリスキリングの最新事情を探る
最近、NTTコムオンラインとNTTデータ経営研究所が共同で行った調査が注目を集めています。この調査は、令和時代に働く人々のキャリアプランや企業のキャリア形成支援施策の実態、また個人のリスキリング状況を明らかにし、今後のキャリア施策の方向性を探るものです。
調査の背景と目的
調査は、急速に変化するビジネス環境や、デジタル技術の進展により、社員のスキルと行動がどのように変化しているかを分析することを目的としています。また、内閣府が推進する「三位一体の労働市場改革」にも触れ、企業が求めるスキルと個人のリスキリングの実態を比較するための土台を得ることが目指されています。
キャリア施策の認知と活用状況
調査結果では、全体の53.4%が企業のキャリア施策を認知している一方で、実際にその施策を利用しているのは11.9%にとどまりました。
「必要ない」と感じている人も4人に1人に達し、企業が施策を整備するだけでは十分ではないことを示唆しています。
そのため、企業側には施策を普及させるための取り組みが求められます。
キャリア転換への意向
その一方で、キャリア転換の意向については興味深いデータが得られました。特に、係長クラス以上の人々では70%を超える転換希望が示され、年収500万円以上の層でも約50%が転換を考えていることが確認されました。
このことから、職責や経済的余裕がキャリアの再設計に対する意欲に強い影響を与えることが明らかになりました。
リスキリングの実施状況
一方でリスキリングの実施率については、正社員で34.9%、契約社員で22.7%という比較的低い数値が示されました。特に目を引くのは、リスキリングが非デジタル領域に偏っている点です。
デジタル・ITスキルへの取り組みは正社員で18.6%、契約社員で9.1%のみという結果となり、特に50代の正社員の実施率は10%未満という状況が浮き彫りになりました。これは、今後求められるスキルとの乖離を感じさせる結果です。
企業と個人のギャップ
調査結果からは、企業がキャリア形成支援やリスキリング施策を整備している一方で、個人の施策への関心や評価が低いことが浮き彫りになりました。この乖離を解決するには、その選択肢をより明確に示し、需要に即したリスキリングを促進する必要があります。
まとめ
この調査は、現代の企業が直面しているキャリア形成とリスキリングの問題を浮き彫りにしました。企業は制度の導入だけでなく、それをどのように活用させるかが重要であり、個人もまたニーズに合わせたスキル向上に向けた実践が求められています。今後、企業と個人が協力しながら、それぞれのキャリア形成を進めていくことが必要とされます。