住友林業が木材コンビナート事業を北米に展開
住友林業株式会社は、2023年7月1日、アメリカのテキサス州に本社を置く100%子会社のSumitomo Forestry America, Inc.(SFAM社)を通じて、北米の大手製材会社Teal Jones GroupからTeal Jones Louisiana Holdings LLC(TJLH社)の持分を100%取得しました。この買収により、テキサス州ダラスにある製材会社Teal Jones Plain Dealing, LLC(TJPD社)の持分も57.05%取得し、これを連結子会社化しました。
住友林業はこの新たな統合を通じて、北米での初の木材コンビナート事業の展開を目指しています。この事業は、住宅や集合住宅向けのディメンション材を製造し、さらにマスティンバーの製造も検討しています。木材を余すことなく利用し、その価値を最大化するカスケード利用によって、米国市場での競争力を強化し、事業のさらなる拡大を図っていく方針です。
事業概要
新たに設立されたTJPD社がルイジアナ州に保有する約100haの敷地内で、住宅に使用するディメンション材の製造が行われます。これは年間おおよそ1,000千m3の原木を使用し、約14,000戸分の住宅に相当する500千m3のディメンション材の生産を計画しています。製品は、FITP事業(Fully Integrated Turnkey Provider)や不動産開発事業など、住友林業の他の事業部門へ供給される予定です。
敷地内には約40haの遊休地があり、今後の需要増加に対応するためのマスティンバーの製造や木材製造品の生産・販売も視野に入れています。製造過程で生じるチップや製材残渣は、バイオマス発電やバイオリファイナリーに利用する方向性も持っています。
競争力の源泉
本工場の立地は、住友林業が米国での住宅事業を積極的に展開しているエリアの一つであり、特にダラスは木材需要が高い地域です。また、テキサス州内には木材の設計、製造、施工を行うFITP事業拠点が複数点在し、販売エリアを効果的に拡大できる見込みです。
住友林業の米国市場での全体の供給戸数の約40%がテキサス州に集中しており、今後も「ウッドサイクル」を実現した持続可能なシステムを構築することが不可欠です。住友林業は、原材料を安定的に調達し、労働力不足や人件費高騰といった外的要因からも影響を受けにくい事業モデルを構築します。
環境への配慮
本事業の特徴の一つは、持続可能な森林経営に基づく資源調達です。原材料には、米国南東部で広く採取されているサザンイエローパイン(SYP)が使用されます。この選択は、日々成長する森林資源に支えられているため、持続的な供給が可能です。さらに、米国では住宅供給不足と人口増加が続いており、住宅用木材の需要は今後とも高まっていくと見込まれています。
住友林業は2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を掲げており、木材の利用促進を通じて炭素の固定化を図ることを目指しています。そのため、日本の技術と経験を米国に応用し、グローバルに展開することで、木材の持つ力を最大限に引き出し、環境への貢献を果たしていくのです。
これにより住友林業は、北米での木材コンビナート事業の成功に向け、持続可能な社会の実現、そして「脱炭素社会」の実現に向けた挑戦を続けていくことになります。