東レが開発した離型紙不要な布用粘着フィルム
東レ株式会社が新たに開発した布用粘着フィルムは、驚くべき革新性を持っています。これまで、布製品に粘着するためには、必ず離型紙が必要とされていましたが、今回の技術革新によりその必要がなくなりました。つまり、離型紙を用いずに、粘着面が布にしっかりと貼りつくフィルムが実現したのです。
この新技術は、フィルム表面にミクロンサイズの微細な凸構造を施すことによって可能となったものです。これにより、粘着面が不用意に接触することを物理的に阻害し、未使用時にはべたつかずに済むのです。たとえば、指や金属、プラスチックなどの平滑面に触れても、表面の凸部が接触するため、粘着層には影響を与えません。その結果、さらさらとした触感が保たれることが可能になりました。一方で、布や不織布などの繊維製品には、凸構造の隙間に繊維が入り込み、しっかりとした密着性を実現します。これにより、使用時には布にしっかりとくっつき、平滑面には付かないという特性が生まれました。
環境への配慮
この紙を使わない製品の背景には、環境問題の意識があります。粘着製品では通常、離型紙が使われ、それが多くの場合廃棄物として処理されることから、その削減が求められていました。特に、「貼るカイロ」やゼッケン、医療用パッドなど、日常的に利用される粘着製品にとっては深刻な問題でした。
例えば、今回の開発によって「貼るカイロ」に適用される場合の試算では、年間で約247トンもの離型紙ゴミを削減できる見込みです。これは環境負荷の軽減に大いに寄与するものであり、業界全体での積極的な取り組みとして評価されています。
さらなる展開
東レは、2023年度中にこの新たな粘着フィルムの売上高を10億円にすることを目指しています。主に日用品、医療、アパレルといった幅広い分野への展開を検討しており、特に冷却シートやおむつ、母乳パッドなど、さまざまな用途に向けた提案が進められています。
この製品は、粘着技術の新たな可能性を示すものであり、今後の市場でのさらなる革新が期待されます。環境への配慮を重視しつつ、製品の利便性や効率性を高めることを目指す東レの取り組みは、持続可能な社会に向けた重要な一歩であるといえるでしょう。
【動画】では、本開発材をステンレス板や布に密着させた場合の比較を行っています。ぜひご覧ください。
私たちが使用する製品は日々の生活と深く結びついており、その中でも東レの新しい粘着フィルムは、持続可能な未来を目指す上で欠かせない素材となることでしょう。
今後も東レは、「新しい価値の創造を通じて社会に貢献する」という理念のもと、高機能で高付加価値の材料を開発し続け、持続可能な社会の実現に向けて貢献していくことでしょう。