北海道千歳市で路線バス自動運転の実証実験が実施される
深刻化する運転手不足問題への対策として、北海道千歳市でIOWNと5Gワイド技術を活用した路線バスの自動運転実証実験が実施されます。NTTコミュニケーションズ株式会社が中心となり、2024年11月に実施されるこの実験は、地域公共交通の維持・発展に大きく貢献する可能性を秘めています。
少子高齢化と運転手不足
日本全国で少子高齢化と人口減少が加速する中、公共交通機関を取り巻く状況は厳しさを増しています。特に路線バスでは、運転手の高齢化や人材不足が深刻な問題となっており、多くの地域で路線の減便や廃止を余儀なくされています。千歳市でも同様の状況に直面しており、市民生活への影響を懸念する声が上がっていました。
IOWNと5Gワイド技術を活用した革新的な取り組み
この実証実験では、自動運転レベル2のバスを使用し、JR千歳駅から千歳相互観光バス株式会社本社営業所ターミナル間の区間で運行されます。運転手は常時運転席に同乗し、必要に応じて操作を行います。
実験の大きな特徴は、IOWNと5Gワイド技術の活用です。乗客の乗降時における安全確認を徹底するため、バス停に設置された監視カメラの映像を、約50km離れた北海道大学の遠隔監視室にリアルタイムで伝送します。IOWNの高速大容量・低遅延通信によって、タイムラグの少ないスムーズな監視を実現します。
さらに、5Gワイドによる遠隔管制システムも導入されます。車両情報や映像をリアルタイムで監視することで、通勤ラッシュ時などの混雑状況下でも安定した通信環境を維持できるかを検証します。これは、将来的に実現を目指す自動運転レベル4に向けた重要なステップです。
未来の公共交通システムを目指して
この実証実験は、単なる技術検証にとどまりません。千歳市の公共交通機関の更なる利便性向上、ひいては運転手不足問題の解決に大きく貢献することを目指しています。実験結果を基に、複数の自動運転バスを一括管理できる統合遠隔管制センターの構築なども検討されています。
NTTコミュニケーションズは、本実証実験を北海道におけるIOWN社会実装拡大の第一歩と位置付けており、企業、自治体、学術機関との連携を強化することで、北海道の産業復興や街づくり、更には社会課題の解決に貢献していく方針です。
実証実験の詳細
実施期間: 2026年11月18日~2026年11月27日(土日祝日を除く)
運行区間: JR千歳駅から千歳相互観光バス株式会社本社営業所ターミナル間
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遠隔監視室: 北海道大学
より詳しい情報や乗車予約などは、千歳市自動運転実証実験のウェブサイトをご確認ください。
この実証実験の成功は、日本の地方における公共交通問題の解決策を示すだけでなく、自動運転技術の更なる発展と普及に大きな影響を与えるでしょう。今後の展開に注目が集まります。