京都府福知山市が進める循環型森林整備の新たな取り組み
福知山市が2023年3月26日に、地元の林業事業者と協力して「循環型森林整備の推進に関する協定」を締結しました。この取り組みは、京都府内では初の試みであり、全国的にも珍しいケースとなります。市内の森林資源を次世代に繋ぐための官民連携の展開で、植林から育林、伐採のプロセスを通して、持続可能な管理が目指されています。
循環型森林整備の目的
森林は木材供給だけでなく、二酸化炭素の吸収、水の貯留、土砂流出防止、養分の供給など、多くの機能を持ち合わせています。これらを「森林の有する多面的機能」とし、それぞれの機能が協力して森林全体の効力を高めることができるという特性があります。新たな循環型森林整備は、木材の生産機能を高度に発揮させることを目的としています。
福知山市の森林事情
福知山市は総面積の約75%を森林が占めています。スギやヒノキの人工林は特に多く、樹齢は51〜70年が主流ですが、木材価格の低迷が影響し、新たな植林が進まないという課題も抱えています。このため、成熟した木を伐採し、再び苗木を植える必要があります。このような循環型の取り組みが進まなければ、未来の森林資源が危うい状況になる恐れもあります。
循環型森林ビジョンの形成
福知山市では、令和6年8月に「福知山市循環型森林ビジョン」を策定しました。これは、森林の持つ多面的機能を最大限に発揮させるための方法論を示すもので、特に「林道に近い」「傾斜が緩やか」「林地生産能力が高い」という条件を重視しています。目標として、10年後には主伐と再造林を35ha/年のペースで達成することが掲げられています。
課題と対策
森林整備を進めていく中での課題の一つは、「森林所有者の高齢化」と「山離れ」です。自らの手で森林を管理していた方々が高齢化することで、所有者が分からない土地や管理されていない森林が増加しています。これに対して、本市では高精度の地形情報をまとめ、森林境界の明確化を図っています。また、必要に応じて市が直接、森林整備を進める仕組みを整えていく方針です。
効率的な森林整備の推進
今回の協定では、市と林業事業者が連携し、効率的かつ適切な森林管理に取り組むことが強調されています。林業事業者は、自らの知識や技術を駆使して、森林経営計画に基づく施業を行い、持続可能な森林の維持を目指します。
福知山市が提案する循環型森林整備の取り組みは、単なる森林資源の管理に留まらず、地域の生態系保護や地域経済の活性化にも寄与することが期待されています。今後も、協定締結者を公募し、積極的に参画者を募っていく方針です。森林資源を次世代に繋げるこの取り組みが、より良い未来のための道筋を示すことがなるでしょう。