新たな研究結果が示す母乳中ポリアミンの影響とアレルギーリスクの関係
2023年10月、雪印ビーンスターク株式会社は、母乳の成分であるポリアミンと子供の食物アレルギー発症リスクの関連について新たな研究成果を公開しました。この研究は、第3回全国母乳調査の一環として実施され、名古屋大学で開催された第79回日本栄養・食糧学会大会にて発表されました。
研究の背景と目的
近年、母乳には様々な生理活性物質が含まれていることが明らかになってきましたが、その中でもポリアミンが注目されています。ポリアミンは細胞の増殖や免疫調整に重要な役割を果たし、特に乳児期には未熟な消化機能の発達に寄与すると考えられています。今回の研究では、母乳中のポリアミン濃度が児の食物アレルギーの発症にどのように影響するのかを探りました。
研究方法
この研究では、1,210組の母親と乳児から収集した母乳試料が使用されました。母乳中のポリアミン濃度は、産後1-2か月、5-6か月、11-12か月の各時期に測定され、食物アレルギーの発症状況と関連付けられました。特に、3歳までの食物アレルギーの発症と母乳中のポリアミン濃度との関連性が詳細に解析されました。
主な研究結果
結果として、母乳中のポリアミン濃度は、産後の経過に伴い低下することがわかりました。また、ポリアミン濃度が高い母乳を摂取した乳児は、食物アレルギーの発症リスクが有意に低下することが確認されました。具体的には、ポリアミン濃度が高いほど、3歳までの食物アレルギー発症のオッズ比が有意に低くなり、食物アレルギーが発症しなかった群の母乳中ポリアミン濃度は、発症した群と比較して24%高いことが示されました。
この研究によって、母乳中のポリアミンが乳児のアレルギーリスクを低減する可能性が示されたのは大きな発見です。ポリアミンは、もともと細胞や免疫機能の発達に寄与し、人間の成長に不可欠な成分です。しかし、母乳中のポリアミンが乳児に与える具体的な影響については、これまで詳しい研究があまり行われていなかったのが現状です。
今後の展望
雪印ビーンスタークは、今後も収集したデータをもとに母乳の成分と母親の生活習慣、さらに児の成長や発達との関係を研究し続けていくとしています。この研究成果は、母乳育児の重要性を再認識させるものであり、母乳中の栄養素が乳児の発育や健康に与える影響に光を当てるものとなるでしょう。
今後の研究の進展に期待したいところです。母親にとっては、自身の生活習慣を見直し、健康的な母乳の提供を目指すことが求められます。
まとめ
雪印ビーンスタークが取り組んでいる全国母乳調査がもたらした新たな知見は、母乳の重要性を再確認するきっかけとなりました。ポリアミンが食物アレルギーの発症リスクに与える影響についての研究は、今後の母乳育児における指標となる可能性を秘めています。