秋田県男鹿市に拠点を置く「稲とアガベ株式会社」の関連会社、株式会社SANABURIが、その独自の理念を具現化した実験酒の第一弾「SANABURI SPIRITS 山椒 prototype01」を、2025年5月31日より全国44箇所の酒販店で販売開始します。これは、酒造りの過程で生じる酒粕を宝物へと昇華させる「SANABURI構想」から生まれた画期的な一本であり、持続可能な地域社会の実現に向けた新たな一歩となります。
廃棄から価値へ:SANABURI構想の核心
株式会社SANABURIは、「稲とアガベ」が創業当初から掲げる「廃棄リスクの高い素材を新たな価値に変える」という理念を継承しています。その象徴が、酒粕や醸造過程で残るアルコールなどを活用し、新たな商品を生み出す「SANABURI構想」です。2022年4月に開設された食品加工場「SANABURI FACTORY」で「発酵マヨ」などを手掛けてきた実績に続き、満を持して「早苗饗(さなぶり)蒸留所」が稼働。酒粕からアルコールを抽出し、蒸留酒として再生させることで、資源循環と付加価値向上を追求しています。
爽やかな挑戦:山椒スピリッツ「prototype01」の魅力
記念すべき実験酒第一弾となる「SANABURI SPIRITS 山椒 prototype01」は、和歌山県有田川町の「かんじゃ山椒園」で育まれた高品質な山椒を贅沢に使用しています。この山椒が持つ柑橘を思わせる爽やかな香りと、和山椒特有の青々しい風味が特徴のスピリッツは、和食から中華まで幅広い料理との相性を発揮。日常の食卓を豊かに彩ります。
おすすめの飲み方は、スピリッツ1に対してソーダ3の割合で割るソーダ割り。さらに、七味やわさびを少量加えるといったユニークなアレンジで、より奥深い味わいを楽しむこともできます。価格は3,000円(税抜)、アルコール度数は30%、内容量は500ml瓶です。
創造者たちの熱意:開発者の声
株式会社SANABURI代表取締役であり「稲とアガベ」の取締役も務める齋藤翔太氏は、「ようやく、早苗饗蒸留所の第一弾プロダクトが全国リリースです。これまでの蒸留所の概念にとらわれず、もっと広く居酒屋や家での普段の食事シーンで飲まれるお酒をまずは作りたいと話し、クラフト焼酎のような文脈で誕生したのがこの山椒スピリッツです。地元男鹿の皆様からも好評で、全国の皆様にお楽しみいただけるのが嬉しい」と、その喜びを語っています。
また、早苗饗蒸留所の醸造家、鶴田一樹氏は、「高品質な山椒ならではのスパイシーさだけでなく、柑橘を思わせるフルーティな香りも特徴です。ストレート、ロック、ソーダ割はもちろん、お湯割りや出汁割り、さらにはワサビやテキーラとの組み合わせなど、多様な飲み方で楽しんでいただけます」と、その多面的な魅力をアピール。自身のデビュー作への自信を覗かせました。
「早苗饗蒸留所 公式アンバサダー」に就任したBar Germerオーナーの小川祐美子氏も、「この素晴らしいブランドの一員として、蒸留所の魅力を伝える機会をいただけたことに感謝しています。山椒スピリッツは、シンプルな飲み方から様々なアレンジができる万能なスピリッツなので、一本あっという間に消費してしまいますよ」と、その汎用性の高さを力説しています。
男鹿の未来を拓く:SANABURIの展望
「SANABURI構想」は、単なる商品開発に留まりません。早苗饗蒸留所の将来的展望には、廃棄リスクの高い素材を新たな価値に変える持続可能な地域づくりを推進し、地域経済や雇用の創出を図るという壮大なビジョンがあります。今後は、酒粕を活用した多様な商品展開や、スピリッツ、ジン、リキュールといったクラフトスピリッツの製造、さらには地域の特産品と連携した商品開発も進められる見込みです。
蒸留所の敷地内、旧鉄工所の残りのスペースは、稲とアガベ株式会社によって「食の交流拠点」として整備される計画です。飲食店や土産物店が設けられ、地域住民や観光客が集う場となることで、男鹿の魅力を国内外に発信し、地域の持続可能な発展を目指します。この山椒スピリッツは、その大きな一歩となることでしょう。