次世代PETボトル分解
2024-12-20 08:20:46

AI技術を駆使した次世代PETボトル分解技術の共同研究始動

AIを駆使したPETボトル分解技術の革新



2024年下期から、SyntheticGestalt株式会社、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社(AQI)、国立大学法人東京科学大学が共同で新しいPETボトル分解技術「バイオリサイクル」を研究開始することを発表しました。この技術は、環境負荷の低減とコスト削減を目指し、PETボトルリサイクルにおける新たな基準を確立することを目的としています。

「バイオリサイクル」の概要と特長



「バイオリサイクル」とは、PET素材を化学的に分解し新しいPET樹脂を作り出す手法の一つであり、従来の「ケミカルリサイクル」と反応の本質は同じですが、化学的分解工程を酵素分解に置き換えることで、反応温度の大幅な低下を実現します。これにより、常温・常圧でのリサイクルが可能となり、従来の手法が直面していた課題を解決することが期待されています。

このプロジェクトでは、PET素材を最も効率よく分解できる新規の酵素「PETase」を早期に発見し、最終的には「バイオリサイクル」を確立することを目指します。環境問題が深刻化する中、この技術の有用性が高まる一方です。

三者の役割分担



この共同研究には、三者それぞれが特有の役割を果たしています。まず、SyntheticGestaltは、改良されたAI技術を用いて2.5億種類の遺伝子ライブラリーから新しいPETaseを探索します。これまでに、世界で二例目となるバイオリサイクルに不可欠な新規酵素MHETaseの発見や、PETaseの新規発見に成功しています。

次に、AQIはアサヒグループの独立研究子会社として、研究で得られたPETaseに関する市場のニーズを評価し、実用化を目指します。アサヒグループは飲料事業を営んでおり、相当量のPET製品を取り扱う企業のため、この研究の成功が企業全体に貢献する可能性があります。

最後に、東京科学大学は、分子進化工学における知識と技術を生かして研究を進め、実験と評価を担当します。藤島研究室と寺坂研究室は、数百万種類の配列から特定の機能を持つタンパク質を選定し、それに改変を加える技術を保有し、この研究を科学的な観点から支えます。

未来に向けた展望



本研究では、AIを活用して未知のPETaseを効率的に発見することを目標としており、今現在、自然界には数十億種類の酵素が存在することから、多くは未解明であり、優れた機能を持つ酵素が多数存在すると考えられています。AIによる分析により、今まで知られていなかった新しい酵素候補が迅速に特定される可能性があります。

すでに、共同研究チームは新しいPETase候補を10種類発見し、一定の分解機能が確認されています。今後は、研究チームがこれらの候補をさらなる検証を行い、改良を進めて技術の実用化を目指します。最終的には2026年までに、実証プラントスケールでの活性を持つPETaseの開発を展望しています。

SyntheticGestalt株式会社について



SyntheticGestaltは、分子分析や探索を専門とするAI開発企業であり、世界最大の基盤AIモデルを開発していることが特徴です。このAI技術は、従来の分子関連AIが抱える精度の問題を克服し、酵素活性の高精度予測や、実業界での幅広い応用に向けた取り組みが期待されています。

環境問題が深刻な現代において、この共同研究の成果が実現すれば、PETボトルリサイクル技術が大幅に進化し、持続可能な社会を構築する一助となるでしょう。

このように、AI技術の応用が持つ可能性と環境問題解決に向けた新たな一歩に注目が集まります。


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会社情報

会社名
SyntheticGestalt株式会社
住所
新宿区内藤町1番地6La Keyaki
電話番号

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