医学生向けキャリアセミナー開催概要
2025年9月26日、川野小児医学奨学財団主催による「医学生向けキャリアセミナー」がオンラインで開催されました。本セミナーには、同財団の奨学生12名が参加し、東京都立小児総合医療センターの海老島健医長が講師として登壇しました。
開催の背景
公益財団法人川野小児医学奨学財団は、日々育成される医学生や小児医学研究者への支援を目的とし、35年以上にわたって奨学金事業を行っています。これに伴い、奨学生や卒業生との交流を通じて、未来の医学を担う人材のキャリア形成を促進することがセミナー開催の大きな目的となっています。
セミナーの内容
海老島医長の講演は、医学生時代の過ごし方やキャリア選択のきっかけ、現在の児童精神科における現状などがテーマです。特に、児童精神科においては、同じ症例は二度と存在せず、常に新しい学びがあるという点に重点が置かれました。
1. 児童精神科は学びの場
海老島医長は、少子化が進む中でも児童精神科を訪れる子どもたちが増えている現状を報告しました。心の問題が根底にあるケースが多く、専門医として全人的なアプローチが求められることから、精神科医としての責任の重さを実感しています。子どもやその家族に寄り添い、適切な支援を行うことの重要性を訴えました。
2. 精神疾患の発症年齢
さらに、児童精神科に対するニーズの高まりを指摘し、精神疾患の発症年齢のピークが14.5歳であることにも触れました。この時期に適切な医療的介入が行われないと、その後の生活に大きな影響を与える可能性があるとのことです。
3. チームでの治療
治疗は医師一人では成立せず、多職種との協力が必要であることも強調されました。他職種の専門家と共に連携し、責任を持って進める姿勢が求められています。心の治療という特性から治療結果が目に見えにくい場合もあるため、精神科医として冷静に状況を見守る重要性についても言及しました。
現役奨学生の反応
セミナー終了後には、参加した医学生たちから感想や質問が寄せられました。
- - ある6年生は、「児童精神科の需要が高まる中、新たな視点を得られた」と述べ、自身のキャリア形成にプラスになる具体的な学びを得たことを語りました。
- - 3年生の学生は、患者一人一人に合わせた治療アプローチの重要性に気付きました。
結論
このセミナーは、次世代の医療を担う若手医師たちにとって、貴重な学びと気づきを提供する場となりました。今後も川野小児医学奨学財団は、医学生が未来の医療に貢献できる人材へと成長できるよう支援を続けていく所存です。
財団情報
公益財団法人川野小児医学奨学財団は、経済的理由で進学を断念する医学生を支援する奨学金事業を行っています。897名の奨学生が活躍しており、各分野の研究助成を行っています。
詳しくは、
川野小児医学奨学財団の公式ウェブサイトをご覧ください。