作業船の次世代燃料導入でカーボンニュートラルを推進
作業船の次世代燃料導入でカーボンニュートラルを推進
国土交通省港湾局は、カーボンニュートラルポートの形成を目指して、新たな試みを開始します。具体的には、港湾工事で必要となる作業船に、バイオディーゼル燃料や合成液体燃料を導入し、その効果を検証するプロジェクトです。この取り組みは、2023年7月1日から始まる直轄港湾工事を対象としており、作業船からの二酸化炭素排出量を実際に測定、評価していくことを目的としています。
2050年カーボンニュートラルに向けて
国土交通省は政府の将来ビジョンである2050年までのカーボンニュートラル実現に向け、さまざまな施策を展開しています。その一環として行われるのが、今回の作業船への次世代燃料の導入です。カーボンニュートラルポートの実現には、港湾工事から発生する二酸化炭素の排出削減が不可欠であり、その中でも作業船由来の排出は重要な要素とされています。実際、港湾工事からの排出量の約20%が作業船からのものとなっています。
次世代燃料の特徴とは
今回導入される燃料には、FAME(脂肪酸メチルエステル)とGTL(ガスから液体への変換燃料)があり、これらは他の従来型燃料に比べて二酸化炭素排出量が少ないことで注目されています。FAMEは廃食油を原料にしており、再生可能な資源を利用しているのが特徴です。一方のGTLは、天然ガスを原料にした合成燃料で、持続可能なエネルギー供給の選択肢として期待されています。
検証工事の概要
検証工事は、グラブ浚渫船や起重機船を用いた港湾工事の一部を対象として実施されます。対象となる作業船で通常の燃料と次世代燃料を使用し、それぞれの燃料消費量や二酸化炭素の排出量を比較することで、次世代燃料の削減効果や課題を明らかにします。試行工事にかかる費用は、実際に使用した燃料代や船舶の改造費用が計上される予定です。
未来のカーボンニュートラル社会に向けて
この取り組みを通じて得られる知見は、将来的に港湾工事における二酸化炭素排出量のさらなる削減に寄与することを目指しています。国土交通省は、港湾工事を持続可能なものに変えていくための取り組みを進め、未来のカーボンニュートラル社会の実現を目指しているのです。
このように、作業船への次世代燃料導入は、港湾工事における環境負荷を軽減し、持続可能な社会への第一歩となります。今後の動向に注目が集まります。