世界初のデング熱重症化予測診断キットの承認
株式会社ビズジーンが製造したデング熱の重症化予測を可能にする診断キットが、タイ王国で製造承認を取得しました。この成果は、大阪大学微生物病研究所との共同研究の結果であり、このキットはデングウイルスの4つの血清型を迅速に特定することができます。
開発の背景と技術
デング熱は蚊を媒介とするウイルス感染症で、毎年約3.9億人が感染し、そのうち約9,600万人が発症、2万人以上が亡くなっています。特に近年は、地球温暖化によりデング熱の流行が拡がり、日本でも感染者が増加傾向にあります。デングウイルスには4つの血清型が存在し、再感染時に重症化するリスクが高まるため、その予測が求められています。
これまでの検査方法ではPCRを用いて感染初期の患者の血液を分析し、重症化リスクを特定するものでしたが、時間と費用がかかる課題がありました。ビズジーンの新しい抗原検査キットは、NS1蛋白質を基に血清型を15分以内に高精度で判定することができ、従来の5分の1の費用で解析が可能です。
臨床試験と承認
この技術の臨床試験はタイのマヒドン大学熱帯医学部と協力し行われ、その結果がタイの食品医薬品局に登録され、製品名「VisCheck™ Dengue NS1 Rapid Antigen Serotyping Test」として承認されました。このキットは、感染者の血清型を特定し、重症化リスクを正確に予測するための新たなツールとなります。
将来の展望
2025年1月からはタイの医療機関に向けて販売が開始され、その後ASEAN諸国へ展開する予定です。共栄産業株式会社が生産体制を支え、効率的なスケールアップを進めています。この製品の導入により、地域の感染動向のモニタリングや、適切な治療の実施、果ては新たな治療薬やワクチンの開発にも寄与することが期待されています。
まとめ
ビズジーンの新しいデング熱重症化予測診断キットは、感染症に対する新たなアプローチを提示しています。迅速かつ正確な診断を可能にするこの技術は、個々の患者に最適な治療を行い、デング熱による死亡率を低下させる一助となるでしょう。医療現場での活用が待たれます。