S2Wによる2026年上半期のAPT脅威報告
ダークウェブビッグデータ分析を専門とする韓国の企業S2Wは、国家支援を受けるAPT(高度持続的脅威)グループの活動に関する詳細な分析レポートを発表しました。レポートのタイトルは「2026年上半期の国家支援型APT脅威の状況:トレンド・主要キャンペーン・戦略的洞察」で、2026年1月から6月までの期間に焦点を当てています。この報告書では、北朝鮮、中国、ロシアの三国から支援を受ける攻撃グループの動向を包括的に捉えています。
APTグループの活動状況
S2Wの解析によると、2026年上半期には合計158件のAPT活動が報告され、これは2025年下半期の147件から11件増加したことを示しています。特に増加分は北朝鮮とロシアに関連する事案が目立ち、これは第1四半期に集中して発生しました。
北朝鮮の動向
北朝鮮関連のAPT活動は、2025年下半期の87件から99件に増加しました。これは13.8%の増加率で、三国の中で最も多くの報告がなされています。特に暗号資産、IT、ソフトウェア業界を狙った偽の採用活動や、コードリポジトリ、npmパッケージを悪用した攻撃が多発しています。また、生成型AIとディープフェイクを駆使した攻撃も確認されています。ターゲットとしては韓国が19回で最も多く、次いで米国が8回となっています。
中国の動向
中国のAPT活動は40件から33件に減少し、17.5%の減少を示しています。しかし、通信分野に対する攻撃は継続しており、エネルギー分野や軍事関連組織、さらに東南アジアや中東地域にターゲットを広げています。長期的なサイバー諜報活動が確認されており、特に東南アジアでは8回、中東では4回の攻撃が記録されています。
ロシアの動向
ロシアは、20件から26件に報告が増加し、30%の上昇を示しました。ウクライナを狙った攻撃を継続しつつ、欧州の政府機関や軍事機関、重要インフラを狙った活動も確認されています。特にウクライナに対する攻撃が10回で最も多く、次いで東ヨーロッパ地域で2回が報告されています。
攻撃手法と脆弱性
報告では、北朝鮮はソーシャルエンジニアリングやユーザ操作、中国はサーバーや防御機器の脆弱性、ロシアは文書ファイルやウェブメールの脆弱性を悪用していることが指摘されています。固有のCVE(共通脆弱性識別子)は15件確認されており、全体で19回観測されています。これらのAPTグループは共通してフィッシングや公開サーバーの脆弱性を悪用し、正規のリモート管理ツールやVPN、クラウドサービスを利用しています。
推奨される対策
S2Wは、2026年下半期に向けて以下のセキュリティ対策の強化を推奨しています。まず、開発エコシステムへの侵入や通信・重要インフラへのアクセスを持続的に行うことが予想されるため、特に注視が必要です。また、イランの脅威アクターによる影響も警戒する必要があります。検知対象を広げることや、侵入の検知、認証情報の変更、影響範囲の調査なども重要です。
このレポートはS2Wの公式プラットフォームで入手でき、詳細な情報については公式サイトへの問い合わせも可能です。
会社概要
S2Wは、2018年9月に設立され、ダークウェブビッグデータ分析を専門とする企業です。2023年には世界経済フォーラム(WEF)の「最も有望なテクノロジーパイオニア100社」に選ばれ、国際刑事警察機構(ICPO)とのパートナーシップを結ぶなど、国際的な活動も行っています。特に2025年にはICPOの官民協力プログラム「Gatewayイニシアチブ」にも参加しています。主な製品には公共部門向けのサイバー犯罪捜査ビッグデータソリューションや民間企業向けのサイバー脅威インテリジェンスソリューションがあります。