環境に優しい新たなステンレス鋼の登場
日本金属株式会社が新たに発表したステンレス鋼「STA(スペシャルテンションアニーリング)仕上」が、エッチング加工における高精度化を実現しました。この新製品は、環境配慮型製品「エコプロダクト」の一環として展開され、2050年のCO₂排出量Net Zero達成を目指しています。
STA仕上の特徴
従来のTA(テンションアニーリング)仕上に比べ、STA仕上は残留応力を極限まで低減させることで、より高い平坦性と形状安定性を実現しました。これにより、特にハーフエッチング工程における反り問題が大幅に改善されています。また、エッチング面の滑らかさに関するニーズにも応え、結晶粒径の微細化を実施することで、高精細な微細加工の要求に応えることができるようになりました。
製造プロセスの効率化や形状最適化にも寄与し、エネルギー効率の向上や環境負荷の軽減を実現します。これにより、加工効率が改善され、歩留まりの向上も期待されます。さらに、同社はこの製品を「エコプロダクト」として位置づけることで、持続可能なものづくりへの貢献を約束しています。
様々なニーズに応える進化
STA仕上は、5G通信やモバイル機器、半導体関連の分野でも特に注目されており、今後の販売拡大が期待されています。鋼種にはSUS304やSUS301、SUS430などをラインナップしており、厚みは0.1mmから0.5mm、幅は最大600mmに対応可能です。また、結晶粒微細鋼として提供されるSUS304は、特に滑らかなエッチング面を実現するためのオプションも持っています。
未来を見据えた経営計画
同社の第11次経営計画「NIPPON KINZOKU 2030」では、環境に配慮した新たな価値を提供することを目指しています。「Multi & Hybrid Material」や「Near Net Shape」といったキーワードのもとで、様々なニーズに応じた素材の提供を進めています。この計画は、製品に求められる性能を素材にて実現することを目指し、人と地球に優しいものづくりに取り組む姿勢を強調しています。
今後、STA仕上はそのユニークな特性により多くの企業に採用され、製造業界における環境対応の新たなスタンダードとなることでしょう。この新製品が持つ可能性を通じて、日本金属は業界のリーダーとしての役割を一層強化していくことでしょう。