難民への支持と不安
2024-06-27 15:17:07

世界で難民への支持は依然高いものの、受け入れに対する不安も根強い:UNHCRとイプソスの調査

世界で難民への支持は依然高いものの、受け入れに対する不安も根強い:UNHCRとイプソスの調査



国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と世界有数の市場調査会社であるイプソスが共同で実施した、世界中の難民に対する人々の態度に関する大規模な調査結果が発表されました。この調査は、2024年6月20日の世界難民の日に先立ち、発表されました。

調査によると、成人の4分の3が依然として、戦争や迫害から逃れる人々は他の国で安全を求めることができるべきだと考えていることがわかりました。しかし、ロシアによるウクライナへの全面侵攻の影響で、多くの国で避難所提供への支持は2022年の高水準から低下しています。

調査では、難民に対する認識の複雑な様相が明らかになりました。たとえば、難民の社会統合の能力に対する懸念など、一部の主要受け入れ国や西側諸国ではあまり肯定的な感情を示していません。調査対象者の3分の1は難民が自国の労働市場、経済、文化にプラスの影響を与えると考えていますが、別の3分の1は反対の考えを持っています。特に難民人口が多い国では、難民が国家安全保障や公共サービスに与える影響についても懸念が示されました。

一方で、多くの人々が依然として難民を支援する行動を起こしています。3分の1は寄付やソーシャルメディアなどを通じて難民への支援を示しました。しかし、難民の75%が低所得国および中所得国に居住しており、37%が難民を受け入れている国に対する国際援助が不十分だと考えています。

イプソスの会長兼創設者であるDidier Truchot氏は、「難民に対する一般の認識に耳を傾け、理解することが不可欠だ。肯定的なものも否定的なものも、寛大さも、また懸念や恐怖も。これは、こうした不安に対処し、世界最悪の悲劇から逃れてきた人々が、今後も当然受けるべき援助とサポートを受けられるようにするための最善の方法である。理解を深めることで、より良い政策とコミュニケーションが生まれるはずだ。」と語りました。

UNHCRの渉外局長、Dominique Hyde氏は、「最近では、難民を締め出す方法についてよく耳にする。難民は社会の悪の原因だとポピュリストに責められている。しかし、この調査は、安全を求める権利を支持する声が根強くあることを私たちに思い出させる。これは、時として暗い世界における心強い希望の兆しである。」と述べました。「それでも、難民を排斥するのではなく受け入れるべき理由を懐疑論者に説明するには、私たちはもっともっと努力する必要がある。国民の信頼と共感が損なわれることは、難民を安全に受け入れる環境を作る上で大きな障壁となっている。」

調査は、4月から5月にかけて実施され、52か国の3万3000人を超える成人が参加しました。これはイプソスによる難民に関する調査としては最大規模のものであり、難民問題への理解を深め、難民に対する国民の支持の度合いを調査することを目的としています。2024年5月時点で、世界中で1億2000万人以上が強制的に避難を余儀なくされています。

この調査は、難民に対する世界的な認識の複雑さを浮き彫りにし、難民を受け入れる国だけでなく、世界全体が難民問題にどのように対応していくべきかを改めて考えさせるものです。


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