老舗アパレル企業「東京ソワール」のリブランディングプロジェクト:従業員をブランド発信者に!
2024年に創立55周年を迎える老舗アパレルメーカーの株式会社東京ソワールは、中期経営計画において「事業領域の拡大」を長期ビジョンに掲げ、リブランディングプロジェクトを始動しました。
このプロジェクトのパートナーとして、コーポレートブランディング支援を行う株式会社揚羽が、ブランドシンボル開発から社内外への浸透活動までをサポートしています。
本記事では、ブランドシンボル開発後に始動した3つのプロジェクトのうち、従業員が新しいブランドへの理解を深め、発信者となることを目指す「インナーブランディングプロジェクト」の取り組みと今後の展望について詳しく解説します。
「インナーブランディングプロジェクト」の目的:新しいブランドへの理解と共感を深める
株式会社東京ソワールは、日本で初めて和装に代わる女性向けの礼服「ブラックフォーマル」を開発したフォーマル業界のリーディングカンパニーです。
2023年3月には、リブランディングプロジェクト第一弾として、新しい理念体系と提供価値を表現したムードボードの策定が支援されました。
その後の「インナーブランディングプロジェクト」は、従業員が新しいブランドを理解し、体現することで、ブランドの発信者になることを目指しています。
プロジェクトは、社内を盛り上げるための「社内スローガンの策定」と「社内発表会の企画」からスタートしました。
親しみやすいプロジェクト名「変ワルソワール PROJECT」で社内浸透を促進
プロジェクトメンバーへのアンケートを通して、従業員の「東京ソワールとしての使命感」、「存在意義」、「誇り」といった想いを集め、社内スローガンを策定しました。
複数のスローガン案の中から、『変ワル、ソワール。』がプロジェクト名に採用されました。
リブランディングという言葉ではなく、従業員が親しみやすい「変ワルソワール PROJECT」として、全社に共有されています。
社内発表会「Rebrand Kick-off Party」で新しいブランドの世界観を伝える
2023年12月には、新しいブランドを社内に伝えるための社内発表会「Rebrand Kick-off Party」が都内のホテルで開催されました。
イベントに向けて、コンテンツ企画、ポスター、クレドカード、ブランドムービーなど、様々なコミュニケーションツールの制作が進められました。
ブランドムービーでは、「嘘のない映像」をコンセプトに、リアルな場面を撮影。
新たに策定されたミッション「大切な想いの、すぐそばに。」について、言葉だけでは伝わらないブランドの世界観を、真に伝えることを目指しました。
さらに、長期ビジョンである「事業領域の拡大」をポジティブに伝え、事業の先にあるエンドユーザーの表情を伝える映像に仕上げています。
発表会後の反響:理解度60%、共感度92%
発表会後のアンケート調査では、発表された理念への理解度が60%、共感度が92%という結果が出ました。
定性調査でも、多くのポジティブな意見が寄せられています。
株式会社東京ソワールの担当者からのコメント
「本当に少しずつですが、変化が現れてきていると感じています。何か大きなことで、皆が一気にゲームチェンジするようなことではなくて、今の延長線上でも何でも良いので、新しいことを少しずつ積み重ねていく。何かを始めれば、それが私たちの財産になるので。いつか大きな財産にするために、自分が小さなことをどう起こしていけるかということを、皆さん意識してやってくれているんだなと感じています。
当事者は皆からも評価されるでしょうし、自分たちの自信にもつながっていくので、そういうことを積み重ねていきたいと思います。
揚羽さんには、外から爆上げしてくれるような存在でいてほしいと思っています。」(株式会社東京ソワール 執行役員 デジタル戦略部長 兼 マーケティング室長 島村 聡さま)
「インナーブランディングにおいては認知が済んだ段階ですが、これから、理解、共感、行動、そして最終的には東京ソワールとして持続的に成長し続けられるための事業領域の拡大…というところまでいかなくてはと思うと気が遠くなるほどの先の話です。そこを、ストーリー立ててやっていくためには、プロジェクトメンバーだけでなく、「全社で」というのがキーワードだと思っています。皆で考えていく、皆で変えていくという風土をつくれるようにしていかなければいけないかなと感じています。」(株式会社東京ソワール 経営企画本部 経営企画部 鹿島 直樹さま)
今後の展望:全社で「変えていく」風土を醸成
株式会社東京ソワールは、今後も「変ワルソワール PROJECT」を通じて、従業員一人ひとりがブランドの発信者となることを目指し、持続的な成長を目指していきます。
全社で「変えていく」という風土を醸成し、新しい東京ソワールを築き上げていくことが、今後の課題です。
老舗企業の挑戦:リブランディングは組織変革への第一歩
株式会社東京ソワールのリブランディングプロジェクトは、単なるブランドイメージの刷新ではなく、従業員の意識改革と組織変革を伴う、非常に挑戦的な取り組みだと感じます。
「変ワルソワール PROJECT」という親しみやすいプロジェクト名や、社内発表会「Rebrand Kick-off Party」など、従業員が積極的に参加できる工夫が凝らされている点も素晴らしいです。
特に、ブランドムービーのコンセプトである「嘘のない映像」は、企業の理念やビジョンを、従業員にも率直に理解してもらうための効果的な方法と言えるでしょう。
発表会後のアンケート結果や担当者からのコメントからも、従業員の意識が変化し始めていることが伺えます。
しかし、リブランディングプロジェクトは、スタート地点に立ったばかりです。
今後、従業員の行動変容を促し、全社的に「変えていく」風土を根付かせることが重要になります。
そのためには、継続的なコミュニケーションや、従業員が主体的に参加できる仕組み作りが不可欠です。
今回のプロジェクトが、株式会社東京ソワールのさらなる発展に繋がることを期待しています。
インナーブランディングは企業の未来を創造する
インナーブランディングは、企業の理念やビジョンを従業員に共有し、行動を促すことで、企業文化を形成し、組織全体の力を高める取り組みです。
近年、多くの企業がインナーブランディングに取り組んでいますが、成功には、従業員の共感と行動変容が不可欠です。
株式会社東京ソワールの取り組みは、インナーブランディングの成功事例として、他の企業にも参考になる部分が多いと感じます。
特に、従業員が主体的にプロジェクトに関わることで、企業へのエンゲージメントを高めている点は注目すべきです。
インナーブランディングは、企業の未来を創造する重要な要素です。
多くの企業が、従業員の力を最大限に引き出し、企業の成長に繋げるためのインナーブランディングに取り組むことを期待しています。