キヤノンが提案する新型プラスチック分析装置TR-A100の魅力とは

キヤノンが新たに発表したプラスチック分析装置「TR-A100」

キヤノンが今月発表した「TR-A100」は、従来のリサイクル業界の課題を解決するために開発された卓上型のプラスチック分析装置です。2025年6月19日から受注が開始されるこの装置は、材料の判別が難しい黒色プラスチックを含む複数のプラスチック材質を、簡単かつ高精度に検査することができます。

再生プラスチックの必要性

資源循環型社会が求められる昨今、リサイクル業界は大きな転換期を迎えています。再生プラスチックの生成には、原料として使用されるプラスチックの純度が必要不可欠であり、これにはABSやポリプロピレン（PP）などさまざまな材質の正確な判別が不可欠です。しかし、リサイクラーや再生樹脂メーカーはしばしば組成が不明のまま回収プラスチックを購入しているため、その純度を知る手段がなかったのです。また、従来の手作業による検査方法は時間がかかり、効率が悪いという問題も抱えていました。

TR-A100の革新技術

TR-A100は、ラマン分光法を用いた独自のレーザースキャン方式によってこれらの問題を打破します。トレイ上のプラスチック片にレーザー光を照射し、その際に発生する特有のラマン散乱光を分析することで、一括で材質を判別します。特に黒色プラスチックは光の散乱が少なく、判別が難しいのですが、キヤノンの先進的なレーザー制御技術を活用することで、熱ダメージを最小限に抑えながらも、必要な計測時間を確保しました。これにより、黒色を含む複数のプラスチック片についても高精度な材質判別が実現されているのです。

効率的な操作性

TR-A100はその設計もユーザーに優しい仕様となっています。限られたスペースにも設置できる卓上型で、トレイに並べるだけで自動で位置を認識し、レーザー照射のポイントを決定する機能があります。これにより、複雑な設定や手間な作業が不要で、初心者でも簡単に使用できるのが特徴です。この特性は、質の高いリサイクルプロセスを支え、業務の効率向上に大いに寄与するでしょう。