生成AIとナレッジグラフ
2023-10-24 09:27:39
生成AI時代のナレッジグラフ構築技術最前線:専門家によるセミナー開催
生成AI時代のナレッジグラフ構築技術最前線:専門家セミナー詳報
2023年11月15日、一般財団法人機械システム振興協会主催のセミナー「第2回 機械システム・イノベーションセミナー」が開催されました。テーマは「生成AIと外部知識の活用への挑戦の最前線~生成AI時代のナレッジグラフ構築技術:ナレッジグラフ推論チャレンジ2023~」。
本セミナーでは、産業技術総合研究所主任研究員で電気通信大学連携准教授の江上周作氏が講演を行いました。江上氏は、近年注目を集める生成AI、特に大規模言語モデル(LLM)とその可能性、そしてLLMが抱える課題について解説しました。特に、出力内容の品質保証、情報源の不明確さ、再現性の問題点を指摘し、それらの解決策としてナレッジグラフに着目しました。
ナレッジグラフ:生成AIの課題解決へのアプローチ
ナレッジグラフとは、様々な事物をノード、それらの関係性をエッジとして表すデータグラフです。LLMの抱える「ハルシネーション(幻覚)」問題に対し、ナレッジグラフは明示的なファクトデータや論理的知識を接続することで解決に繋がるアプローチとして期待されています。江上氏は、LLMと社内文書や知識の組み合わせによる現場での活用事例を紹介し、ナレッジグラフがLLM単体での応用の限界を克服する構造化知識・ファクトデータとして注目されている点を強調しました。
ナレッジグラフ推論チャレンジ2023
講演では、「ナレッジグラフ推論チャレンジ」についても触れられました。これは、人工知能学会セマンティックウェブとオントロジー研究会が主催するチャレンジで、AIシステムの正確性・品質保証、そして論理的な説明可能性を重視した技術提案を募集しています。2024年1月31日が応募締め切り、3月9日に最終審査会・授賞式が予定されています。
ディスカッションセッション:活発な意見交換
講演後には、東京大学機械工学専攻教授の村上存氏をモデレータに、活発なディスカッションセッションが行われました。参加者からの質問や意見を交えながら、生成AIの実社会における活用可能性、課題、ナレッジグラフ構築技術の展望について議論が深まりました。
まとめ
本セミナーは、生成AI技術の現状と将来展望、そしてナレッジグラフの重要性を改めて認識する機会となりました。特に、LLMの限界克服に繋がるナレッジグラフ技術への注目は高く、今後の研究開発の進展が期待されます。セミナーを通じて、生成AIとナレッジグラフ技術が、様々な分野でイノベーションを起こす可能性が示唆されました。
講師プロフィール:江上周作氏
江上周作氏は、産業技術総合研究所主任研究員、電気通信大学連携准教授、法政大学兼任講師を務める知能情報学、ウェブ情報学、知識工学、データ工学の専門家です。数々の受賞歴を持ち、人工知能学会においても重要な役割を担っています。
一般財団法人機械システム振興協会
本セミナーを開催した一般財団法人機械システム振興協会は、機械産業及び関連産業の総合的な高度化と国民生活の向上を目的とする団体です。様々なイノベーション戦略策定事業やフォーラム事業を実施し、日本の産業発展に貢献しています。
会社情報
- 会社名
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一般財団法人機械システム振興協会
- 住所
- 東京都港区芝大門1-9-9野村不動産芝大門ビル9階
- 電話番号
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03-6848-5036