ITフリーランス新法、施行から約1年
2024年11月に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」、通称「フリーランス新法」は、ITフリーランスにとってどのような影響を及ぼしているのでしょうか。レバテック株式会社の調査によると、約7割のフリーランスがこの新法を認知しており、実際に仕事環境にも変化が見られています。
認知度の向上
法施行から約1年が経過し、フリーランス新法の認知度は70.1%に達しました。この数字は、前年の調査から大きな上昇を示しており、法律に対する関心が高まっています。「契約内容の明示義務」や「報酬支払いの適正化」といった具体的な法律の内容が理解されつつあることが伺えます。
新たな挑戦を促進
また、調査によると約4割のITフリーランスが法整備により「新たな挑戦がしやすくなった」と感じていることが明らかになりました。具体的には、契約書や報酬項目の明確化、事前の合意形成などが進み、新たなビジネスチャンスに挑戦する動機づけになっています。フリーランスとして働く環境が整うことは、専門スキルを活かす新しい機会を提供します。
出産・育児と経済的課題
一方、出産・育児を経験したフリーランスのうち、およそ7割が取引先からの配慮を受けた経験があります。特に「就業時間や日数の調整」といった配慮が多く見られます。しかし、妊娠や育児によって「報酬を減額されたり、取引量が減少した」と答えた人も多く、経済的課題は依然として残されています。これらの問題に対処するために、さらなる制度の改善が求められています。
継続希望とキャリア形成
調査では、ITフリーランスの9割以上が今後もフリーランスとして働きたいと意向を示しています。その理由には「自由な働き方」や「ライフイベントへの柔軟な対応」が挙げられ、自身のキャリアをデザインしたいという意見も多く見受けられます。このことは、フリーランスとしての働き方が多様化し、自立したキャリア形成が進んでいることを示しています。
企業の対応を強化しよう
レバテックの執行役社長である泉澤氏は、法整備の進展により契約内容や報酬の透明性が高まり、フリーランスが安心して新たな挑戦に取り組める環境が整いつつあると指摘しています。しかし、出産や育児における契約の変更や経済的な圧力は依然として存在するため、企業側のさらなる改善が必要です。ITフリーランスは人材不足の解消だけでなく、高度な専門性を社会に還元する重要な存在です。
今後も法整備や企業の対応が進むことで、フリーランス活用が促進され、企業競争力の向上、さらには日本経済全体の成長に繋がると期待されます。
調査の概要
調査は2025年10月2日から10月8日まで実施され、同社のフリーランスとした男女651名を対象に行われました。インターネットを通じての調査となっており、現状のフリーランスが抱える問題や期待される環境の整備について詳細が明らかにされました。
この調査結果は、ITフリーランスとして働く人々のための貴重なデータを提供しており、今後のビジネス環境の改善に寄与することが期待されます。