資料作成業務の効率化が進む中、スライド生成AIツールの可能性とは

スライド生成AIツールと資料作成業務の今

2023年9月、株式会社ストリームラインが実施した「スライド生成AIツールと資料作成業務に関する調査」の結果が発表されました。この調査は、日本全国の23歳から59歳の男女300名を対象に行われ、特に広告代理店やコンサルティング会社などBtoB企業に勤務する人々に焦点を当てています。調査結果からは、資料作成業務における生成AIの利用率やその効果に関する興味深いデータが得られました。

資料作成作業の現状

調査によると、58.4％のビジネスパーソンが週に11時間以上を資料作成に費やしているとのこと。最も一般的に作成されているのは「報告書・レポート（40.0％）」と「提案書・企画書（25.3％）」であり、これは多くの職種で資料作成が日常業務の一部であることを示しています。資料作成において最も時間がかかり、負担に感じるプロセスは「アイディア出し（42.3％）」「デザイン・レイアウト調整（40.0％）」「図解・表・グラフの作成（39.0％）」です。

実際、74.7％の人が「資料作成にかける時間を削減したい」と回答しており、業務の効率化が急務であることが分かります。

生成AIの導入とその効果

生成AIの利用率は74.3％に達し、中でも「ChatGPT」が55.0％の使用率を誇っており、続いて「Gemini（30.3％）」や「Microsoft Copilot（28.3％）」と続きます。生成AIを活用している層の73.7％が「資料作成の効率化を実感している」と回答しており、実際の使用例としては「情報収集・リサーチ」「アイディア出し」「骨子・文章作成」が挙がっています。しかし、34.3％の人が「生成結果に虚偽情報が含まれる」と感じており、情報漏洩の懸念や生成物の精度に対する不安も散見されました。

スライド生成AIツールの普及状況

スライド生成に特化したAIツールは近年増加しており、Gamma、Genspark、イルシルなどがありますが、依然として52.0％の人が「スライド生成AIツールを知らない」と回答しています。利用経験者のうち63.7％が「資料作成業務の効率化を実感」と回答しており、特に「アイディア出し」「情報収集・リサーチ」「デザイン・レイアウト調整」において高い効果を実感しています。しかし、29.9％が「自社のテンプレートや個人スタイルに合わない」との不満を示しており、実用として使える資料との間にギャップが存在しています。

将来の展望

調査結果を元に、スライド生成AIツールの未来について考えます。現時点では利用者は少数ですが、多くの人が「自社テンプレートを流用できるスライド生成AIが欲しい」と考えていることが分かりました。57.7％の人がそのように回答しています。また、今後のスライド生成AIに期待される機能としては「生成文章の品質向上（42.7％）」「デザイン・レイアウトの品質向上（42.3％）」、さらには「情報の虚偽抑制（34.7％）」が上位を占めています。これらのニーズに応える形で、今後のスライド生成AIツールの開発が進むことが期待されます。

株式会社ストリームラインの取り組み

株式会社ストリームラインは、資料作成業務を支援するために、スライド生成AIツール「ReDeck」の開発を進めています。このツールは、既存のパワーポイント資料や新たに必要な情報を組み合わせることで、新しい資料を生成するもので、2025年10月30日に正式版がリリース予定です。高まる資料作成業務の効率化ニーズに応える形で、同社はこの分野におけるリーダーシップを発揮していくことでしょう。