Adobe PDF Print Engine 7が切り開く印刷業界の新たな未来とは
2025年5月、アドビ社はBerlinにて、最新のAdobe PDF Print Engineバージョン7を発表しました。この新バージョンは、印刷業界の主要な機器メーカーやRIP(Raster Image Processor)メーカーからの要望を反映させた革新的な技術を搭載しています。
印刷作業の革新
Adobe PDF Print Engine 7の最大の特徴は、レンダリングプロセスの効率化にあります。新機能がRIP内のレンダリングパイプラインに統合されているため、高度なスキルを要する作業を減らし、手間をかけることなく運用のスピードを向上させています。たとえば、多品種のオンデマンド印刷や、Web to Printの利用など、現代の多様なニーズに応えることが可能となります。これにより、30年続くPDF時代においてなお、アドビが印刷業界に最先端のイメージング技術を提供し続けていることが示されています。
新しい技術革新の具体例
新しいAdobe PDF Print Engine 7に搭載された機能は多岐にわたります。以下にその主要な新機能をいくつか紹介します。
1. マルチカラー透明ブレンド処理
この機能は、ECG(拡張ガモット)印刷における透明ブレンド技術の課題を解決します。CMYKに加えオレンジやグリーン、バイオレットなどのインクの組み合わせを使用し、柔軟に色分版を運用。成果物はどれも鮮やかで目を引く見栄えとなります。
2. バリアブルデータのIn-RIPマージ
この変革により、消費財メーカーは流通や物流問題に対処できるようになると共に、製品認証の容易化を実現。ダイレクトメールの制作も効率化されます。
3. Adobe Photoshop/IllustratorファイルのIn-RIPレンダリング
デザイナーがAdobeのネイティブファイルをそのまま利用できるため、PDF形式への変換プロセスを省略。これにより、プリプレス作業の手間が大きく軽減されます。
4. 塗り足しとカット線のIn-RIP生成
自動で塗り足しやカット線を生成し、手動修正の必要をなくします。これにより作業の正確さと効率がアップします。
5. メタリック基材印刷時の白インクマスク生成
印刷に必要な白インクを適材適所に使用することができ、無駄を省く結果が得られます。
スケーラビリティの強化
Adobe PDF Print Engine 7は、豊富な新しい機能強化をもたらし、パフォーマンスとスケーラビリティを高めています。ハードウェアを最大限に活用することで、キャッシュ処理や画像再サンプリング速さを向上。これにより、印刷業者はより多くのジョブを効果的に処理できるようになるでしょう。
今後の展望
Adobe PDF Print Engine 7は2025年8月にリリースされ、OEMやRIPベンダーが2026年にそれを搭載した製品を提供する見込みです。また、アドビは新たにAdobe Print Servicesプラットフォームを展開し、データの最適化を自動化することで、さらにハイレベルなプリプレスワークフローを実現します。
アドビの製品担当副社長であるナビーン・ゴエル氏は、「我々の新たな技術は、印刷業者がより多くのタスクを迅速に処理できることを目指している」と述べています。業界の技術革新が進む中、アドビは印刷業界に新たなビジネスチャンスを提供する存在となろうとしています。これからのAdobe PDF Print Engine 7に大いに期待が寄せられています。
詳細な情報については、
アドビ公式サイトをご覧ください。