茨城大学、原子力発電所廃炉技術のデジタルツイン開発でGTIE GAPファンド採択！

茨城大学田中伸厚教授のテーマ「原子力発電所廃炉プロセスの高度化及び除染・炉心解体技術の改良に資するデジタルツイン技術の概念検証」が、科学技術振興機構（JST）の「大学発新産業創出基金スタートアップ・エコシステム共創プログラム」の一環であるGreater Tokyo Innovation Ecosystem（GTIE）「GTIE GAPファンドエクスプロールコース」に採択されました。

このプロジェクトでは、デジタル技術を活用し、原子力発電所の効率的な廃炉に向けて、最新の除染・切断手法に関する知見やノウハウなどのマクロデータベースとミクロスケールでのシミュレーションを活用したデジタルツインシステムを開発します。将来的には、Robot as a Service / Software as a Serviceを提供するスタートアップ創業を目指し、安全かつコスト効率的な廃炉作業の実現、原子力サプライチェーンの強化、エネルギー問題解決に貢献していく計画です。

# 廃炉技術の高度化で原子力発電の未来を拓く

田中伸厚教授は、COP28での世界の22か国による原子力発電設備容量3倍増加に向けた共同宣言に触れ、日本においても廃炉処理の迅速化が重要であると強調しました。現状、日本では原発の新規立地が難しい状況が続いており、廃炉処理を迅速に進めて安全性の高い原子炉を新設することが、原子力発電の未来を拓くための重要な課題となっています。

# 大学発ベンチャーの創出を加速

茨城大学研究・産学官連携機構産学連携部門長酒井宗寿准教授は、国内大学における大学発ベンチャー設立の現状を踏まえ、茨城大学でも同等の起業を目指すと表明しました。GTIEのネットワークを活用し、質の高い大学発ベンチャーの創出・育成を加速させていくという意気込みを表明しています。

# みらい創造機構がスタートアップ創業を支援

株式会社みらい創造機構は、本プロジェクトに協力機関として参画し、技術の事業化、スタートアップ創業を伴走していきます。執行役員高橋遼平氏は、原子力発電所の廃止措置は原子力サプライチェーンの観点から重要であり、グローバルでは事業面からの成長領域として捉えられていると説明しました。茨城大学発の革新的技術シーズを核に、社会的インパクトの大きいスタートアップを創出し、みらい創造機構も共同創業者の一員として貢献していくことを表明しています。

# GTIE GAPファンドプログラムとは

GTIE GAPファンドプログラムは、JST「大学発新産業創出基金スタートアップ・エコシステム共創プログラム」の一環として、東京大学、早稲田大学、東京工業大学が主幹となって運営するプログラムです。大学発スタートアップの継続的な創出を目指し、大学や研究機関の技術と知識を活用した新しい産業やスタートアップ企業の創出を目指すエコシステムの形成を目的としています。

# みらい創造機構について

2016年に東京工業大学と社会連携活動の推進に向けた組織的連携協定を締結し、東工大関連ベンチャーキャピタルファンドを設立・運営しています。2021年に設立した二号ファンドでは、投資対象を東工大関連ベンチャーから高専関連にも拡大し、研究開発型スタートアップの創業前から起業後まで、技術の社会実装に伴走し「未来を創造する」活動を展開しています。

現在までに46社の研究開発型スタートアップへの投資を実行し、3社が上場、4社のM&Aを実現しています。2023年度NEDO「大学発スタートアップにおける経営人材確保支援事業（MPM）」に採択され、客員起業家（EIR）制度を運用しながら、研究開発型スタートアップへの経営人材供給・育成にも取り組んでいます。大学系VC、中小機構、北九州市、つくば研究支援センターとの連携協定を結び、研究開発型スタートアップを取り巻くエコシステム形成を進めています。

廃炉技術の革新が拓く、新たな未来

茨城大学とみらい創造機構の連携による、原子力発電所廃炉技術のデジタルツイン開発は、原子力発電の未来を大きく変える可能性を秘めています。安全で効率的な廃炉処理の実現、原子力サプライチェーンの強化、そして新たな産業創出による郊外地域の産業振興への貢献と、様々な期待が寄せられています。本プロジェクトの今後の展開に注目が集まります。