東京メトロが進める回生エネルギー活用の新たな戦略
東京メトロは、2025年度から全線で、回生電力の有効活用を強化する取り組みを実施します。これにより、脱炭素化に向けた大きな一歩を踏み出すことを目指しています。
回生電力の重要性と東京メトロの取り組み
回生電力とは、電車がブレーキをかけた際に発生する電力で、運動エネルギーを電気エネルギーに変換することで生成されます。これまで、付近を走行する電車がいない場合には、このエネルギーを有効活用できない状況にありました。東京メトロはこの問題に着目し、2025年度から変電所電圧の適正化により、回生電力をより効率的に利用する方策を進めます。
具体的な施策と見込まれる効果
具体的には、変電所や車両が保有するビッグデータの分析を行い、最適なき電電圧を特定します。2023年12月からは、有楽町線を対象に実証実験を開始し、結果は約3%の電力量削減を実現。この成果を受け、丸ノ内線、東西線、半蔵門線などに対象を広げる計画です。この取り組みによって、年間約4,500トンのCO2削減が期待されています。
また、回生電力の有効利用を促進するため、駅補助電源装置、電力貯蔵装置、電力回生インバーターといった新しい設備を導入しています。これまでに、20台の駅補助電源装置、4台の電力貯蔵装置、3台の電力回生インバーターが導入され、さらに新たな試験によってその効率を向上させる見込みです。
実験から得られた新たな知見
2024年4月からは西船橋駅での実証試験を通じて、電車線電圧の波形を検知する新しい制御方式へと変更することで、回生電力の有効利用が約40%向上する可能性が示されています。この新技術は、全駅補助電源装置に適用され、さらなるCO2削減約370トンを見込んでいます。
結論
東京メトロの取り組みは、回生電力の効率的な活用を通じて、持続可能な交通手段の実現に向けた重要な一歩です。今後も環境への負担を減少させるため、さらなる研究開発が期待されます。あらゆる試みが成功を収めることで、より快適でエコロジカルな交通ネットワークが形成されるでしょう。