金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」第28回議事録:プロダクトガバナンスの議論深まる

金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」第28回議事録:プロダクトガバナンスの議論深まる



金融庁は、令和6年5月24日に金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」の第28回会合を開催し、プロダクトガバナンスに関する議論を行いました。

今回の会合では、大和証券株式会社から村田氏が参考人として出席し、販売会社側の立場からの情報連携に関する取組や意見を表明しました。

村田氏は、販売会社と資産運用会社間の情報連携の必要性と同時に、データ収集や加工、提供方法、契約管理、公平な競争環境の構築など、留意すべき点を具体的に指摘しました。

情報連携によって、運用会社は顧客属性に関するデータに基づいて、商品の提供方法や商品説明資料を改善したり、販売会社向けの研修を充実させたりすることが可能になります。

一方、販売会社は、自社データだけでなく、他社におけるファンド購入顧客の属性データも分析することで、より精緻な顧客層の分析やプロダクトガバナンスのモニタリングの質向上を期待できます。

事務局からは、前回の議論を踏まえたプロダクトガバナンスに関する基本的な考え方と、顧客本位の業務運営に関する原則に盛り込むべき事項の全体像が説明されました。

基本的な考え方としては、製販全体としての顧客の最善の利益の実現、マーケットインの視点、原則の対象、プロポーショナリティ、実効性の確保、取組状況のフォローアップなどが挙げられています。

顧客本位の業務運営に関する原則に盛り込むべき事項としては、基本理念、体制整備、組成時の対応、組成後の対応、情報提供という5つの事項が提言されました。

特に、組成会社と販売会社間の情報連携について、具体的な情報連携の内容や必要な情報、提供方法、情報の活用方法などが詳細に議論されました。

情報連携の目的は、顧客属性の分析、商品性の検証、顧客向けの資料作成、営業員研修の充実、金融商品の改善などに活用されることが期待されています。

また、事務局からは、株式の決済期間短縮(T+1化)、投資型クラウドファンディング、銀証ファイアーウォール規制の見直しなど、プロダクトガバナンス以外の論点についても説明がありました。

T+1化については、海外市場の動向を踏まえ、日本においても検討を進める必要性が指摘されました。

投資型クラウドファンディングについては、株主一元化スキームや勧誘方法の見直しに関する課題が議論されました。

銀証ファイアーウォール規制の見直しについては、金融機能の強化に向けた取組を推進する観点から、利用者保護の状況を適切に確認しながら対応していくべきであるという認識が示されました。

今回の会合で活発な議論が行われ、プロダクトガバナンスに関する理解が深まりました。今後の議論では、実務的な観点からの意見交換を続け、顧客の最善の利益を実現できるような具体的な制度設計を進めていくことが求められます。

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