介護・医療施設のBCP対策、実施状況とこれからの展望

近年、自然災害や予期せぬ事態に備える必要性が高まる中、福祉領域における「BCP対策」（事業継続計画）の重要性も増しています。特に介護や医療施設では、入居者や患者の命を預かるからこそ、万全な体制が求められます。今回は、介護・医療施設に関わるポジションの104名に行ったBCP対策の実態調査の結果を基に、その現状と兆しについて考察します。

調査概要

この調査は、2022年8月に実施され、介護または医療現場で働く経営者や管理者を対象にBCP対策の実施状況について尋ねました。結果として、実に64.4%の施設が何らかのBCP対策を実施しており、これは業界全体で注目すべき数字です。

具体的な対策内容

「BCP対策」を実施していると回答した施設に対し、どのような対策を行っているか尋ねたところ、最も多くの回答が寄せられたのは「自家発電機の設置」で61.2%という結果でした。続いて「防火シャッターの設置」が46.3%、そして「蓄電池の設置」が44.8%となり、特に自家発電機と蓄電池の重要性が浮き彫りになりました。
これらの結果から、事業者は設備の充実を図ることで、非常時においても機能が維持されるよう努めていることが分かります。

停電時に想定される問題

特に介護・医療施設では、停電が発生した場合の困難が懸念されています。調査によると、56.7%の人々が「医療機器が使えなくなる」という問題を最も大きな不安要因とし、続いて50%の人々が「施設利用者がパニックになる」と回答されています。このような深刻な状況に対して、BCP対策は欠かせない要素と言えるでしょう。

蓄電池導入に対するニーズ

さらに、今後のBCP対策として「蓄電池の導入」を検討している施設は74%に及ぶ結果となりました。これは、需要の高さを示し、職場での安全性向上への意識が伺えます。蓄電池導入時には「長期保証」や「安全性」が特に重視されており、時代の潮流に沿ったニーズの変化が感じられます。

まとめ

今回の調査を通じて、介護・医療施設でのBCP対策は多くの事業者によって実施されていることが確認されました。そして、施設の機能を維持するための自家発電機の重要性や蓄電池の需要の高まりが際立っています。特に、福祉現場での命を守るため、設備の充実は不可欠です。
施設での停電時は、混乱や命に関わる危険が伴うため、今後もBCP対策の発展が望まれるところです。まさに、急速な電力高騰や環境問題に直面する中で、介護・医療現場でのBCP対策は一層の整備が求められています。