耐震性不足マンションの再生事例
1. 事業の背景
1980年に建設された「高輪交陽ハイツ」は、港区に位置する総戸数106戸の12階建てマンションで、旧耐震基準に基づいています。この建物は特定緊急輸送道路沿いに面しており、2013年に行った耐震診断で耐震性の不足が確認されました。さらに2014年には、JR東日本が山手線新駅「高輪ゲートウェイ駅」の開業を発表し、周辺エリアの発展に期待が高まりました。
マンションの基本情報は以下の通りです:
- - 名称: 高輪交陽ハイツ
- - 所在地: 東京都港区高輪二丁目19番17号
- - 敷地面積: 約826.90㎡
- - 延べ床面積: 約5378.17㎡
- - 建築年次: 1980年
- - 構造: 鉄骨鉄筋コンクリート造
- - 用途: 事務所・共同住宅
2. 事業の経緯
その後、当社は2015年に高輪交陽ハイツの27戸を取得し、管理組合での理事会に参加。法改正された「敷地売却制度」について、理事会で詳しく説明し、マンションの再生についての理解を深めました。2019年には、野村不動産との協業を決定し、オフィスビルの建設を目指して敷地売却を進めることになりました。
敷地売却の過程では、管理組合による説明会を経て、法定決議が可決され、「高輪交陽ハイツマンション敷地売却組合」が設立されました。2022年7月には、野村不動産に対して敷地を売却し、計画中のオフィスビル建設が現実のものとなります。
3. 高経年マンションの社会的課題
日本全国のマンションストック総数は約685.9万戸のうち、旧耐震基準のマンションが約103万戸を占めています。今後、高経年マンションはますます増加が見込まれ、再生の必要性が高まります。これまでの再生事例は少数で、マンションの再生を進める上での法や制度整備の重要性が浮き彫りになっています。
4. 敷地売却制度の特徴
2014年に創設された「敷地売却制度」は、分譲マンション管理組合の決議で、敷地を売却することを可能としました。这は、マンションの再生手法として大きな転換点となり、借家権の消滅や建物の用途変更においても柔軟性が生まれます。これにより、マンションの再生に関する選択肢が広がることが期待されます。
5. 今後のマンション再生事業への取り組み
今後、当社は耐震不足や老朽化したマンションの再生手法を多様化させる考えです。単なる建替えではなく、建物の用途変更も視野に入れた大胆な計画を進めて行き、地域社会のニーズに応えていきます。マンション再生事業は、社会問題である高経年マンションの解決に寄与する重要な取り組みとなるでしょう。