地球温暖化対策と自動車産業の未来:日本経済におけるEVシフトの影響
地球温暖化対策と自動車産業
地球温暖化への対策が進む中、経済成長との両立が求められています。特に日本の基幹産業である自動車産業では、EV(電気自動車)シフトの影響が顕著です。パリ協定以降、各国が脱炭素を進める中で日本は取り残されつつあり、さらなる対策が求められています。
EVシフトの進行とその影響
グローバルなトレンドとして、2040年にはEV化率が50%になると予測される中、自動車産業への影響は計り知れません。具体的には、年間の製造出荷額が11.3兆円、輸出額が3.2兆円、名目GDPが10.8兆円減少する可能性があります。また、関連する就業人口も129万人減少するとの試算があります。
一方で、EVシフトは新しい市場を生み出す一方で、内燃機関部分の需要が減少し、特にエンジン部品等の需要に依存する企業は厳しい状況に置かれることが懸念されています。このような状況から、地球温暖化対策と経済成長の両立には巧妙な施策が必要とされています。
日本における施策の提案
1. ICEVでのCO2削減
短期的な施策として、内燃機関自動車にバイオ燃料を導入し、ガソリンにエタノールを混ぜることでCO2削減を図ることが重要です。バイオ燃料の混合率を上げることで、熱効率を高め、短期間での対策が期待できるでしょう。
2. 再生可能エネルギーの導入
中長期的な視点では、発電時のCO2削減が求められます。日本政府は2050年目指して再生可能エネルギー比率を増加させる計画を立てています。火力発電に依存している現在の構成を見直し、エネルギー自給率を高めることが、温暖化への包括的な対策に繋がります。
3. バイオ燃料の産業化
最後に、バイオ燃料の事業化は経済成長に寄与する重要な要素です。国内でのバイオ燃料供給体制を整えることで、GDPに好影響を与え、日本の経済基盤を強化することができます。政策としてバイオ燃料導入の義務化を進めることで、新たな市場を開拓する狙いもあります。
まとめ
日本の自動車産業は、地球温暖化対策と経済の両立に向け、適切な施策が求められています。EVシフトに対しては柔軟な対応が不可欠であり、バイオ燃料の利活用や再生可能エネルギーの導入が鍵となるでしょう。この報告書が今後の戦略に役立つことを期待しています。
執筆者プロフィール
岩本 隆氏は、慶應義塾大学大学院経営管理研究科特任教授であり、産業の技術・戦略・政策の融合を専門としています。
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慶應義塾大学大学院経営管理研究科岩本研究室PR事務局
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