日本のオープンソースの現状 2025
2025年12月8日、東京でOpen Source Summit Japanが開催され、Linux Foundationは最新の調査報告書「日本のオープンソースの現状 2025:戦略的なオープンソース活用によるビジネス価値の加速」を発表しました。このレポートでは、日本におけるオープンソースの利用状況とそのビジネスにおける価値について詳しく分析しています。これにより、国内の企業がどのようにオープンソースを活用し、競争力を高めているかが明らかにされています。
オープンソースの重要性
調査結果によると、日本企業の69%が過去1年間にオープンソースを通じてビジネス価値が向上したと答えています。この数字は、世界の平均52%を上回っており、日本がオープンソースの活用において先進的な状況にあることを示しています。
課題とギャップ
とはいえ、ガバナンスやセキュリティに関しては課題が残されています。調査では、日本企業がオープンソースを重要な基盤としている一方で、適切なガバナンス体制やセキュリティ対策が不足していることが指摘されています。特に、オープンソースプログラムオフィス(OSPO)を設置している企業は41%にとどまり、明確なオープンソース戦略を持つ企業は39%のみであるという結果が示されています。
利用状況の変化
日本の企業はオープンソースの導入において興味深い傾向を示しています。基盤インフラでは特に遅れを取っているものの、AR/VRやブロックチェーン技術などの専門分野では優れた成果を上げています。また、セキュリティ評価においては、コモンクライテリアが52%で広く採用されているものの、調査された企業の多くが依存関係の評価やコミュニティ活動の確認を行っていないことがわかりました。
夜明けの兆しと将来展望
これらの課題に対処し、持続的な成功を確保するためには、企業は正式なガバナンス体制の整備と、必要なセキュリティ措置の導入が不可欠です。オープンソースに積極的に関与する企業は、競争力が増すという結果が出ており、73%がオープンソースの活用が自社の競争力を高めていると答えています。
導入のメリット
また、積極的なオープンソースの利用が人材獲得にも寄与し、企業文化を改善するという意見が多数寄せられています。77%がオープンソースは良い職場環境を提供すると考えており、68%が人材獲得においても有利であると述べています。
経営層の意識も課題
一方で、経営層におけるオープンソースの戦略的価値認識はまだ不十分であり、70%の経営幹部がオープンソースの重要性を理解している一方、他の従業員は85%がその価値を理解しているという実態があります。
まとめ
まとめとして、日本の企業はオープンソースを利用してビジネス価値を高める可能性を持ちながらも、ガバナンスやセキュリティにおいてはさらに改善が求められています。今後、企業がこれらの課題に対処することで、オープンソースの活用を進め、競争力を維持・向上させることが期待されています。これにより、日本のオープンソースエコシステム全体が発展していくことを願います。