岐阜市立藍川北学園の6年生は、11月4日に長良川の伝統的な漁法である「瀬張り網漁」を学ぶ体験学習を行いました。このイベントは、一般社団法人海と日本プロジェクト岐阜の協力を得て、アユを通じた川や海の学びを深めることを目的としています。
イベント概要
この学習体験は、岐阜市内の長良川河川敷で行われ、参加したのは藍川北学園の6年生、20名です。また、世界農業遺産「清流長良川の鮎」推進協議会も協力しています。
「瀬張り網漁」は、長良川の中流から下流区域で行われる伝統的な漁法で、主に産卵のために川を下る落ちアユを狙うものです。参加者たちは、日置天治さんという漁師の指導のもと、漁法の基本を学びました。実際に自作の網を見せてもらい、その使い方を習いました。網を効果的に投げるためには、正確な方向に広げる必要があり、子どもたちはその難しさを実感しました。
鮎の塩焼き作り体験
続いて行われたのは、「鮎の塩焼き」の作成です。児童らは、アユの形を模して串に刺す作業に取り組みました。鮎を焼くと、その香ばしい香りが広がり、食べてみるとふっくらとした食感が楽しめました。子どもたちは、身近な川に住む美味しいアユを実際に味わうことで、自分たちの住む地域の魅力を再発見しました。
伝統漁の未来を考える
しかし、日置さんは漁業界の厳しい現状についても語りました。「数年前には4艘の舟があったが、今は1艘だけ。瀬張り網漁に必要な網を作る人もいない。伝統漁法は絶滅の危機にある」と言いました。高齢化や後継者不足が進む中で、地域固有の漁業技術が失われつつある現状について、参加者たちは深く考えさせられました。漁業技術が失われることは、文化の喪失だけでなく、川や海を支えていた人々がいなくなることにもつながるのです。
参加者の声
子どもたちの心に残ったのは、次のような感想です。「漁師さんが少なくなっていることや道具が不足していることを初めて知った。普段何気なく過ごしている中で、こんなことが起きているなんて驚いた。」また、「天然のアユがとても美味しかった。この美味しいアユが近くの川にいることに感動した。」という声もありました。
海と日本プロジェクトの意義
このイベントは、海を介して人々をつなげ、未来に豊かな海を引き継ぐことを目的とした「日本財団「海と日本プロジェクト」の一環です。岐阜県のように海がない地域でも、海の恵みや大切さを学ぶことは、子どもたちへの貴重な経験となります。
岐阜市立藍川北学園が行ったこの貴重な体験は、子どもたちに地域の文化や伝統を再認識させ、未来の海や環境を守る意識を育てるための第一歩となりました。これからも、多くの子どもたちが地域の豊かな資源に触れ、未来へ繋いでいくことを期待しています。