タイで始動する「150万ha水田プロジェクト」
Green Carbon株式会社は、タイ国内の水田における持続可能な農業を推進するため、「150万ha水田プロジェクト」を立ち上げました。2027年度を目指し、タイの水田の約半分で,間断灌漑(AWD)を導入し、カーボンクレジットを創出することが目的です。このプロジェクトの第一弾として、タイ北部のカンペーンペット県においてAWDの実証実施が始まりました。
プロジェクトの背景
タイでは、農業による温室効果ガス(GHG)排出量の抑制が急務とされています。全農業分野のGHG排出量は約5,849万トン、その中で水田からの排出は約3,000万トン(51%)を占めているのです。Green Carbonは、AWD技術を導入することで、メタンガスの削減と作物の収量向上を図り、手助けを行います。
プロジェクトの具体的な内容
本プロジェクトは2025年1月から約7ヘクタールの圃場でパイロット実証を開始し、最終的には50,000ヘクタールにまで拡大することを計画しています。また、プロジェクトから得られる知見は、タイ全土の150万ヘクタールまで広げ、農家の収入向上に寄与することを希望しています。
さらに、タイ国立大学ラジャマンガラ工科大学とのMOUを締結し、AWDによるメタン排出量の削減に向けた具体的な取り組みを進めています。
現地での実証と彼らの期待
カンペーンペット県の実証地では、洪水や水不足のリスクが低い場所を選定しており、AWDの導入効果を評価するためのデータを集めています。AWDは水田の水位管理を行い、入水と自然乾燥を数日おきに繰り返すことで、水使用量を削減し、作物の生育を促進します。この手法の適用により、農家の追加収益は年間およそ100米ドル/ヘクタールに達すると予想されています。
将来的なビジョン
Green Carbonは、パイロット実証の結果をもとに、AWDの実施範囲を広げていく考えです。5年以内に最大50,000ヘクタールへの展開を見込んでおり、その後さらに10年間で150万ヘクタールの水田プロジェクトを完成させ、年間750万トンのCO2削減を目指します。
この一連の取り組みは、タイ国内における農業の持続可能性と環境への配慮を同時に進める意義を持ち、地域社会の経済活性化にも寄与することを期待されています。Green Carbonは、参加を希望する農家や企業、または投資家を広く募っており、その努力は持続可能な未来へと続いています。
最後に
Green Carbonの「150万ha水田プロジェクト」は、環境保護、農業生産性の向上、地域経済の発展といった多くの側面を視野に入れた、重要な取り組みです。AWD技術を駆使しながら、持続可能な農業を目指すこのプロジェクトの今後の展開から目が離せません。