スタジアム・アリーナ運営の急成長
2024年度、国内のスタジアム及びアリーナ施設の運営を行う主要企業50社の売上高が合計で3851億円に達しました。この数値は、新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年度に比べて18%の増加を記録し、音楽ライブの再開やプロスポーツの観客動員数の回復が影響しています。この成長は地域のアリーナ開発にも寄与しており、Bリーグの増加による新設や改修が後押ししています。
安定した集客がもたらす売上増
アリーナ運営企業の売上高は、コロナ禍の混乱を経て、2023年度から成長段階に入りました。主に、コンサートやスポーツイベントの復活、さらに展示会や企業イベントも相次いで行われ、稼働日数が増加したことが一因です。特に、VIP席や飲食エリアの充実は来場者の消費を促進し、売上成長に寄与していると考えられます。
運営企業については、約60%が「指定管理者制度」を利用しています。これは、自治体が所有する施設を民間事業者に委託することで、効率的なコスト管理とサービスの向上を図るための仕組みです。
一方で、自治体が独自に運営する場合、イベントの誘致や交渉が難しくなるため、民間企業との連携が重要です。この流れの中で、最近では「コンセッション方式」を採用する施設も増えてきました。この方式では長期契約を前提に、運営と投資の両方を追求することが求められます。
地域経済とアリーナの関係
アリーナはもはや単なるイベント会場ではなく、地域経済の活性化にも貢献する存在に進化しつつあります。新しいアリーナの開設が相次ぎ、2025年には「TOYOTA ARENA TOKYO」や「IGアリーナ」など多くの新設が期待されています。Bリーグがこの開発を加速させたのは明らかです。Bリーグは観客動員数が急増しており、2024―25シーズンには485万人を見込んでいます。
Bリーグは過去最高の観客数を記録するために、アリーナの高度化を求めています。これにより長期的な運営と投資回収が実現できます。今後は、「B.PREMIER」として新しいリーグ区分が始まり、観客動員だけでなく、アリーナの運営基盤が重要視されます。
新しい運営モデルへの移行
各地でクラブ、自治体、民間が連携し新たなアリーナ開発が進んでいますが、特に多用途での利用が求められています。しかし、規模が適切でないと採算が取れない場合もあるため、柔軟な運営戦略が不可欠です。
最後に、スタジアム・アリーナの運営を地域の社会インフラとしてどのように位置付け、地域経済にどれだけ貢献できるかが今後の重要なテーマになるでしょう。アリーナの役割は単なるイベント開催から、地域活性化のためのハブとしての役割を担うことへと進化しています。