慢性腎臓病CKDのリスクを減らすための提言と新しい取り組み
最近、一般社団法人日本パブリックアフェアーズ協会は慢性腎臓病(CKD)の危険を軽減するための緊急政策提言を発表しました。CKDは、成人の約5人に1人が影響を受けているとされる新たな「国民病」となっていますが、診断されていない人が多く存在します。具体的には、約1,900万人が未診断・未治療の状態にあり、実際に治療を受けているのは約66.6万人に過ぎません。
CKDは通常自覚症状がないため、“沈黙の病気”とも呼ばれています。でも、その影響は深刻で、腎機能が失われると回復が難しいため、最終的には透析や命にかかわる心血管イベントを引き起こすリスクが高まるのです。
今日、特定健診で行われている尿蛋白試験紙法は、初期段階の腎障害や微量アルブミン尿を見逃すことが多いという問題があります。これに対し、アルブミン尿検査(UACR)はより精度の高い検査方法であり、危険因子を早期にキャッチできます。新たに登場したSGLT2阻害薬を用いた治療が進行を抑制する効果があるため、微量アルブミン尿の段階で気づくことが重要です。これにより、個人の生活の質(QOL)を守るだけでなく、年間500万円以上とも言われる透析医療費の節約にも直接つながります。
つい最近も、このような現状に対して国の施策にはいくつかの構造的課題があると指摘されています。特に注目すべきは、アルブミン尿検査の保険適用が原則糖尿病患者に限られている点です。高血圧や加齢が原因の「非糖尿病性」患者に対する早期発見が制度的に不十分であり、特定健診においても本検査は必須の項目として認められていません。
そのため、提言書では次の3つの具体的な提言が行われました。
1. 特定健診におけるアルブミン尿検査の「標準項目化」
2. アルブミン尿検査(UACR)の保険適用範囲の抜本的拡大
3. 自治体・保険者による早期介入に対する国の財政的インセンティブの強化
これらの提言は、急務とされるCKD対策の全国標準化を図り、国民の健康寿命を延ばすことで、社会保障制度の持続可能性を確保するための重要な一歩です。
今後も、日本パブリックアフェアーズ協会は、市民や政治家、行政が参加するオープンな議論の場を提供し、民間の知恵を生かした課題解決に向けた取り組みを続けていく方針です。政府だけでは解決できない複雑な社会課題に対して、様々な角度から考察し、実効性のある提言を行っていくことで、国民の健康を守る環境作りに寄与したいと考えています。