津南醸造が未来の酒造りを提案
新潟県中魚沼郡津南町に本社を持つ津南醸造株式会社が、2025年10月7日に開催された「Design Solution Forum 2025」において、革新的な酒造りの取り組みを紹介しました。このフォーラムは組込み技術や設計開発の最新トレンドを議論するエンジニア主導の技術イベントで、伝統的な日本酒文化がこのような先端技術の場に登壇することは珍しい出来事です。
スマート醸造の理念
津南醸造の代表取締役である鈴木健吾氏が行った講演では、スマート醸造がどのように日本酒の伝統を進化させているかを3つの観点から説明しました。
1. 伝統とAIの融合
酒造りは長年の経験と知識が求められますが、そんな中で生成AIがどう貢献できるのか、その答えがここにあります。津南醸造では、熟練の杜氏や蔵人が持つ知恵と、発酵データ・香気成分分析といった科学的な数値をAIが統合し、最適な醸造条件を提示しています。この方法は特に、地域で育まれた米「魚沼産コシヒカリ」を使用する際にも有益です。
2. 酒造りの高度化とサステナビリティ
スマート醸造は生産効率を高めるだけではありません。酒粕をナノ粒子素材や半導体材料へと転用するという「日本酒アップサイクルプロジェクト」にも取り組んでおり、AIが素材分析やプロセス設計を支援することで新しい循環型産業モデルを創出しています。
3. 宇宙における発酵技術の展開
津南醸造は、宇宙空間での発酵に関する革新的なプロジェクトも模索しています。月面醸造や小型衛星での微細藻類培養実験など、AIが宇宙での発酵条件の設計を支援することで「月面酒蔵2040計画」を具体化しています。これにより、酒造りの新たなフロンティアが開かれつつあります。
代表取締役の思い
鈴木氏は、「AIは人間の代替ではなく、日本酒の可能性を拡張する共創パートナーです」と語ります。地域資源と発酵技術、そして生成AIを結びつけることで、日本酒が食文化から未来の産業インフラへと進化する可能性について強く信じています。
Design Solution Forumの意義
このフォーラムは、エンジニアによって運営され、毎年技術の革新や未来について多くの専門家が意見を交換する場です。ソフトウェアからハードウェア、AI、半導体など様々な分野の専門家が集い、産業の未来についてオープンに議論し合います。
公式サイトは
こちら です。
今後の展開
津南醸造は、スマート醸造の技術を国内外の酒蔵や発酵食品メーカーに広めていく方針です。共同研究やAI共創型地域産業モデルの確立を進め、加えて日本酒アップサイクルプロジェクトを通じて製造プロセスの高付加価値化にも取り組んでいます。宇宙醸造やナノ素材研究に力を入れ、次世代の発酵フロンティアを開拓していく姿勢を見せています。
津南醸造の特徴
津南醸造株式会社は、新潟県中魚沼郡津南町で、日本の伝統的な酒を生産しています。この地は豪雪地として有名で、標高2,000mの山々から湧き出る天然水を使用。また、地元産の「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を使い、自然との共生を目指した酒造りを行っています。2025年には越後流酒造技術選手権大会で新潟県知事賞を受賞するなど、その技術と品質が認められています。
詳しい情報は、津南醸造の公式サイトをご覧ください:
津南醸造