量子で解く分子動力学
2026-06-01 12:06:34

量子コンピュータによる分子動力学計算の新たな道筋を示す技術が開発される

量子コンピュータによる分子動力学計算の革新



はじめに
2023年、株式会社Quemixは株式会社デンソーとの共同研究により、量子コンピュータ上での分子動力学(MD)シミュレーションを実行するための新しい基盤技術を開発しました。この技術は、材料開発や創薬という高度な産業分野において、原子レベルでの精密な解析を可能にします。

分子動力学シミュレーション(MD)とは?
MDは、原子や分子の動きを、ニュートンの運動方程式を基に追跡し、ナノスケールの物理現象からマクロな物性へと結びつける技術です。特に、電池の性能改善や新材料の設計、創薬などの分野で広く使われています。しかし、従来のMDには高い計算負荷の課題があり、精度を追求するほどに膨大な計算リソースが必要とされてきました。

量子コンピュータの可能性
量子コンピュータの導入が期待される背景には、古典的なMDが抱える複雑な計算負荷を軽減できる可能性があるからです。そこで、この研究では「量子–古典ハイブリッドMD・フレームワーク」とでも呼ぶべき新たな手法を提案しました。

新しいアプローチ:分布関数の量子状態保持
この研究成果では、MDを再定式化し、分布関数を量子状態として直接保持・操作する方法が確立されました。これにより、従来の手法で必要だった多数の原子の動きを長時間追う必要がなくなり、効率的に物性値を計算できるようになりました。

具体的には、温度の一定条件を量子回路上で再現する方法や、拡散係数といった物性値を量子状態から効率的に読み出すプロトコルが確立されています。これにより、実環境を模した計算が可能となり、化学状態の予測も高精度に行えるようになりました。

化学状態予測の実証実験
研究チームは新しい量子–古典ハイブリッドMD・フレームワークを使用して、高温環境下で水素分子が水素原子に解離する化学状態の計算を実施しました。この技術は、従来のMDでは処理が非常に重くなりがちな計算を低負荷で実行できることを示しました。

今後の展望
この新技術は、FTQC(誤り耐性量子コンピュータ)時代を見据えた産業応用の基盤を確立するものです。さらに、量子技術の進展によって、材料開発や創薬など多岐にわたる分野での実用化が期待されます。実際、2026年の「Q2B 2026 Tokyo」イベントでの発表も予定されており、今後の進展に注目が集まります。

まとめ
株式会社Quemixとデンソーによる新たなMD計算技術は、多くの産業革新をはらんでいます。
原子スケールから製品性能を向上させる新しい道筋を、量子技術によって切り拓くことが期待されています。これからますます、量子コンピュータの利用が進むことにより、さまざまな産業がその恩恵を受けるでしょう。


画像1

画像2

画像3

画像4

会社情報

会社名
株式会社テラスカイ
住所
東京都中央区日本橋2-11-2太陽生命日本橋ビル16階
電話番号
03-5255-3410

トピックス(IT)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。