運転の安全性向上を目指す「運転の人間ドック」構想の進展
運転に関する安全性を高めるための新たな取り組み、「運転の人間ドック」構想が進行中です。このプロジェクトは、損害保険ジャパン株式会社(以下、損保ジャパン)とAI教習所株式会社、さらに株式会社MEDEMILが共同で推進しています。これにより、より精密で多角的な運転評価が実現し、ドライバーの運転寿命を延ばすことが期待されています。
背景と目的
交通事故を未然に防ぐことを目的として、損保ジャパンとAI教習所は、運転技術の評価の新たな視点を取り入れようとしています。具体的には、運転者の「挙動」や「技能」に「医学」の観点を加えることで、運転評価を三位一体で実施するという理念に基づいています。この取り組みは、特に増え続ける高齢者の運転事故という深刻な社会問題の解決に向けたひとつの解決策となる可能性があります。
MEDEMILは、東京医科大学の学生によって設立されたスタートアップであり、「眼で診る健康、目で見る未来」というビジョンを掲げています。最近では、眼球運動を解析する技術開発に力を入れており、この技術を活用した支援が期待されています。2024年7月1日には、眼の動きから運転能力を評価する「MEDEMIL Drive®」の先行受注が開始される予定です。
三社の共同研究の内容
損保ジャパン、AI教習所、MEDEMILの三社による共同研究では、タクシードライバーを対象とし、以下の三点を基にした運転評価を実施します。
1.
損保ジャパンのテレマティクス技術を用いた安全運転支援サービス
2.
AI教習所のAI教習システムによる運転技術の評価
3.
MEDEMILのMEDEMIL Drive®を活用した運転能力の解析
この三位一体の評価によって、運転者の状態を包括的に把握することが可能になります。
特に、AI教習システムは、同乗者なしで運転技能を測定できるため、運転者にとっては安心して評価を受けられる環境が整います。また、「MEDEMIL Drive®」では、わずか90秒の視線分析で脳機能を評価し、運転に必要な能力を測定できるのが大きな特徴です。これにより、運転時の行動変容を促すための教育プログラムも同時に開発されています。
今後の展望
「運転の人間ドック」構想の実現に向けて、三社はさらなる連携を進めていく予定です。具体的には、ドライバーの特性に応じたより高度な運転評価方法を確立し、それに基づいた個々に最適なトレーニング方法を開発することが目指されています。
この取り組みは、ドライバーにとっての運転の質を向上させるだけでなく、全体的な交通安全の向上につながることが期待されます。今後の動向に注目したいところです。