東京都立病院機構と国産SAF製造の新たな試み
東京都立病院機構(以下、都立病院機構)は、3月25日に日揮ホールディングス株式会社、株式会社レボインターナショナル、合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYの4社と連携し、使用済み食用油(廃食用油)を国産の持続可能な航空燃料(SAF)として再利用する基本合意書を結びました。この日の調印式では、四者が協力して持続可能な社会の実現を目指すことを確認しました。
都立病院機構の役割と目的
都立病院機構は、東京都が設立した地方独立行政法人として、14の都立病院を統括し、都民に安定的で継続的な医療を提供しています。今回の取り組みは、身近な廃食用油を再利用することで、患者や社会全体に対して環境意識の向上と持続可能な社会への貢献を目指しています。都立病院からは、使用した廃食用油の提供を行う予定です。
Fry to Fly Projectの参加
また、都立病院機構は「Fry to Fly Project」にも参画しており、各病院での取り組みを周知する活動を展開予定です。このプロジェクトでは家庭や店舗から発生する廃食用油を原料とし、SAFで航空機の運航を実現することを目指しています。
SAFとは何か?
SAF、すなわち持続可能な航空燃料とは、従来の化石燃料に代わる新しい燃料であり、廃食用油や植物・動物油脂、木質バイオマスを原料にしています。SAFを使用することで、従来の航空燃料に比べてCO2の排出量を大幅に削減することが可能です。具体的には、100%廃食用油から製造されたSAFは、全体のCO2排出量を最大80%削減できるとされています。
新たなサプライチェーンの構築
日揮HDは、SAF製造のためのサプライチェーンを整え、レボインターナショナルは廃食用油の回収と管理を行います。SAFFAIRE SKY ENERGYが実際のSAF製造を担当し、これにより、持続可能な燃料供給の道筋が整います。
東京都は2023年8月、コスモ石油株式会社と共同で「廃食用油回収促進に係る事業提案」に採択され、その後協定を締結。家庭での廃食用油回収を促進しつつ、SAF製造に関する教育活動も行う予定です。
民間企業と自治体の協力
このプロジェクトには、211の企業や自治体が参加しており、各団体の協力によって、廃食用油の回収からSAFの製造、利用に至るまでの一連の流れを確立していきます。また、サステナビリティを推進する本取り組みは、国際的な持続可能性認証であるISCC CORSIAも取得しており、信頼性が高いです。
最後に
都立病院機構をはじめとする関係者は、地域社会と連携しながら、環境に優しい航空燃料の供給を実現し、「Fry to Fly Project」を通じて、持続可能な未来への道を歩んでいくことを目指しています。この取り組みが広がることで、より多くの人々が廃食用油の再利用に関心を持ち、環境保護に向けた行動が促されることに期待が寄せられています。