阪急阪神HDと日立が共同で進める在宅心不全管理サービスの新展開
阪急阪神ホールディングス株式会社(以下、阪急阪神HD)、株式会社日立製作所(以下、日立)、および国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科学講座は、超高齢社会における持続可能な医療モデルの実現を目指し、心不全患者の在宅ケアを支援する新たなサービスの開発に乗り出しました。この取り組みは、健康・医療・介護に関する情報を集約するPHRアプリの活用を通じて実施され、心不全患者の自己管理を促すことを目的としています。
共同検討の背景
日本は超高齢社会に突入し、医療・介護費用の増加が課題となっています。2018年度には約50兆円に達した医療・介護費は、2040年度には約94兆円に達すると予想されています。このため、多職種の不足や地域格差の問題に対処し、医療・介護サービスのデジタル化を進めることが急務です。
阪急阪神HDと日立は、2024年に新規に設立する企業と協業し、経済産業省の支援を受けながらPHRサービスの社会実装に向けた実証調査を行うための事業者として選定を受けました。この取り組みの中で、地域医療の向上に寄与する新しいサービスの創出を目指しています。
大阪大学の心血管外科の宮川繁教授は、特に重症心不全患者に対する治療を行い、患者のQOL向上を目的とした研究を進めています。これにより、在宅治療システムの臨床研究では、ICTの活用により患者と介護者の生活の質に大きな改善が見られました。
サービスの詳細と特徴
共同検討は、心不全患者向けの自己管理支援サービスを構築することを目指しています。サービスの核となるのは、ICT・PHR・AIを統合し、患者が自らの健康を管理する手助けを行うアプリです。このアプリでは、患者自らが日々の体調や行動を記録し、医療従事者とリアルタイムで情報を共有できる機能があります。
本サービスでは、心不全患者向けに特化した情報や、自宅で実施できるセルフケアのコンテンツを提供します。具体的には、管理栄養士が監修した食事レシピや専門スタッフによるセルフケアに関する動画などが組み込まれています。これにより、患者は自身の健康状態を管理しやすくなると共に、医療従事者からの適切な介入を受けやすくなります。
2025年度には、大阪大学医学部附属病院で実際にサービスを試験運用し、その結果を通じて効率的なケアの提供方法を模索していきます。この試行では、心不全ステージDを対象にPHRアプリを利用したサービスを提供し、患者とのコミュニケーションを深化させていきます。
期待される成果
この共同研究により、得られるデータは、心不全患者およびその介護者のQOL向上に寄与すると同時に、医療従事者の業務効率化にも貢献することが期待されています。最終的には、患者や多職種のニーズに応じてサービスのマネタイズを図ると共に、持続可能な医療モデルを確立していくことを目指しています。
また、心不全の各ステージに応じたサービス展開を進め、2026年度以降は対象患者の拡大とともに地域医療全体を見据えたデータの蓄積を行います。これらのデータは、今後AIを用いた診療支援にも役立てられる予定です。
共同事業者の役割
阪急阪神HD、日立、そして大阪大学の三者はそれぞれ異なる専門的技術や知見を持ち寄ることで、心不全治療における新たな領域を開拓していくこととなります。この取り組みは、患者がより良い生活を送れるよう支えることに貢献するでしょう。
この新しい在宅心不全管理サービスは、日本の医療において重要な転換点となる可能性があります。超高齢社会における医療の質を高めるためには、こうしたデジタル化の進展が不可欠です。