ENEOSが進める藻場造成の実証
ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社(略称ERE)は、2023年より千葉県内房において、セルロース活用の藻場造成に関する実証を行いました。この試みは、海洋環境を改善し、漁業資源の回復を目指す重要なものであり、最近、その成果が報告されました。
実証の内容と目的
本実証では、アラメの遊走子を含むセルロースポリマー溶液を海中に散布し、藻場造成の効果を確認する手段として採用されました。具体的には、千葉県の内房でカジメやアラメを対象に数回にわたり実施され、深さ約3メートルの岩盤に散布されました。このプロジェクトは、磯焼け対策の一環として進められました。
2025年8月には、アラメの密度を調査したところ、散布地点では無散布地点に比べて1.78倍から6.4倍という高い値が示されました。これにより、セルロースポリマー溶液が藻場の生育に寄与していることが確認されました。
参加機関と専門性
この実証は、国立大学法人北海道大学の協力を得て、海藻が豊富なコンブ場での実績を持つ岡部株式会社との連携により進められました。これは、マリンバイオテクノロジーの専門性を活かした取り組みであり、藻場造成において科学的根拠を持つ手法の確立に寄与しています。
海洋環境改善と地域貢献
EREは、洋上風力発電の事業者として、海洋環境に配慮したプロジェクトを多角的に検討しており、この藻場造成の成果は、将来的な海洋環境の改善と漁業資源の増加につながると期待されています。
さらに、この取り組みが実を結ぶことで、海中で二酸化炭素を吸収する「ブルーカーボン」の創出にも寄与します。ブルーカーボンは、海洋生態系の保全や創出において近年重要視されているテーマであり、地球温暖化対策の一環ともなります。
まとめ
千葉県内房でのセルロースを用いた藻場造成の実証は、海洋環境の保護や漁業資源の回復において革新的なステップを示しています。EREの取り組みと結果が、持続可能な地域社会の発展に寄与することが期待されます。この記事では、今後の進展に注目し、海洋環境保護に向けた活動を広く発信していくことが重要であると考えています。